リー・クアンユー
シンガポール上級相
 歯に衣着せぬ言動で注目

 シンガポールの“建国の父“で、アジアを代表する政治家。同氏の強力なリーダーシップの下、マレー半島の先端にある湿気の多い小島が、半世紀もたたない内に高層ビルの立ち並ぶ東南アジア随一の先進国に変貌(へんぼう)した。

 シンガポールは65年にマレーシア連邦から半ば追放される形で独立したが、その時の涙の記者会見は今でも有名。その悔し涙を同国の経済的成功に昇華させたともいえる。一党独裁体制を確立し、外資導入による輸出型産業の振興で驚異の経済成長を成し遂げた。90年に31年間務めてきた首相の座をゴー・チョクトン氏に譲った後も、その歯に衣着せぬ言動は常に注目の的だ。

 インドネシアやマレーシアなど周辺国が通貨危機に見舞われ、開発独裁型の経済運営が市場から否定される中、危機の直撃を免れたシンガポールの評価は逆に高まっている。それはリー氏が実践してきたクリーンな政治・経済運営への間接的な称賛との見方もある。49年、ケンブリッジ大学卒。74歳。

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