榊原財務官「IMF、アジアの構造問題に介入しすぎ」
大蔵省の榊原英資財務官
 大蔵省の榊原英資財務官は4日、日本経済新聞主催の国際交流会議「アジアの未来」で講演し、IMFの通貨危機対応能力について「ロシア問題などをにらみ、財源問題が出ている」と指摘、アジア通貨危機のような流動性問題に対処するうえで「米の増資がないとこの種の問題に対応できない」と述べた。

 同財務官はまた、IMFがアジアの金融・経済問題に関連し、アジアの構造問題を原因として強調していることについて「 (構造問題に)手を突っ込み過ぎたため危機が深化してしまった」と述べ、IMFがアジアの構造問題に介入し過ぎることに不満を表明した。

 さらに同財務官は、アジアの金融問題に代表される新しい種類の危機に対処する方策として「短期的な資本移動をモニターする必要がある」と述べた。

 円の国際化については「当面米ドルがアジア地域の基軸通貨であり続ける」とし、円が近い将来アジア地域の基軸通貨とはならないとの見方を示した。

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