ビジネストップからアジア共通通貨求める声
関本忠弘NEC会長
 国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)は5日、2日目の討議に入った。午前中は「アジア的企業経営―強さと弱さ」をテーマに、関本忠弘NEC会長ら4人のアジアのビジネストップがそれぞれの考えを述べた。この中で、ビジネストップからは、アジア通貨危機を教訓に、同地域に共通通貨を導入すべきだとの声が相次いだ。

 関本会長は「21世紀の企業は為替安定を抜きにして語れない」と指摘。欧州のEMSやユーロ導入をにらみ、「アジアン・マネタリー・システム(AMS)」を「できるだけ早くそういう方向に行くべきだ」と語った。

 これに対し、韓国の金宇中・大宇グループ会長は、「AMSを作るのには時間がかかる」としながらも「日本が(AMSに向けアジア各国を)率いていくことが必要」と述べ、の日本のリーダーシップに期待を表明した。

 また、倪潤峰・四川長虹電子集団公司董事長兼総経理は、「通貨の外にも文化や政治の問題がある」と指摘しながらも、「(共通通貨の議論は)出ないより出た方がよい。そうした提案が出たことはすばらしい」と語った。

 アジアの共通通貨構想に関しては4日の討議でも話題となり、マレーシアのマハティール首相は「どこかの段階でそういう話が出て、その必要性について真剣な討議がなされるかもしれない」と述べた。また、大蔵省の榊原英資財務官は「円がアジア地域で一定の役割が果たせるよう日本市場を整備する」と述べ円の国際化へ向け努力する考えを示している。

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