マイケル・アマコスト
米ブルッキングス研究所所長
 ミスター外圧、アジア外交左右

 駐日米大使の任にあった89-93年は、日本にとっても、かつてない構造変化が訪れた時期だった。湾岸戦争に際して、日本の自衛隊派遣など大胆な国際貢献を迫り、日米構造協議では大規模公共投資や各種規制の緩和を求めたアマコスト氏は、「ミスター外圧」の異名で知られた。

 68年、国際基督教大の客員教授として来日。72年にはインガソル駐日大使の特別補佐官として再来日し、対日外交のスタートを切った。以後、国防次官補代理、国務次官補、フィリピン大使、そして職業外交官としては最高位である国務次官と、一貫してアジア外交に携わり、金大中事件、フィリピンのアキノ革命でも主要な役割を果たした。

 外交官として、米国の国益を徹底的に追求し、時には政界実力者に直接、要求を突きつけた同氏は、日本にとって、ともすれば煙たい存在だった。半面、最近の「日米マクロ経済摩擦」は、耳に痛い話を「外圧」の一言で片づけようとする日本の体質に変わりがないことも物語っている。米コロンビア大博士課程卒。61歳。

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