主要
政治・経済
国際
マーケット
産業・流通
店頭・VB
社会
スポーツ
列島ビジネス
社説・春秋
トップ人事
おくやみ
新製品
自動車
発表資料
経済指標
日経調査
●日経プラス1
●日経産業新聞
●日経流通新聞

きょうのクイズ
ザ・ランキング
出張・旅行予約
競馬
ゴルフ
進学ナビ
転職ナビ
2000年 地球人は
第1部 翔ける人々

「日本経済新聞 1面企画」


(2)CEOは15歳

 ワシントンから車で2時間。CEO(最高経営責任者)は、米バージニア州の田園地帯にある全寮制の名門男子高校ウッドベリー・フォレストにいた。

 9歳で会社設立

 キャメロン・ジョンソン君(15)。バスケットの大好きな普通の少年である。

 彼の一日は午前6時、コンピューター教室で取引先の電子メールをチェックすることから始まる。「貴社への投資に興味があります」。この日はカリフォルニアのベンチャーキャピタルから投資の打診が来ていた。

 8時から授業に出た後、9時半の休み時間にニューヨーク株価の寄り付きをみてインターネットで保有株の売買指示を出す。「投資利回りはネット株中心に年300%以上だ」

 授業が終わる午後5時からが本当のビジネスタイム。世界にメールを打ち事業計画を練る。7時半からは自習室で宿題。夜10時半には校則で消灯だ。「時間がほしい」と時々思う。

 キャメロン君の起業は9歳のクリスマス。母からプレゼントされたパソコンであいさつ状のデザイン・印刷業を始めた。2年後にはぬいぐるみのネット販売に進出。州の営業免許も取り、事業として成功させる。1999年2月にはこの事業を売却、6月に迷惑メール受信を遮断するサービスの新会社マイ・イージー・メールを設立した。

 設立後半年でサービスへの加入者は世界150カ国、1万人を突破。ホームページの広告スペースを売って5万ドルの利益も上げた。広告主にはデルコンピュータ、アマゾン・ドット・コムなどが名をつらねる。

 「本当にびっくりしました」。最近、広告会社の担当者からメールを受け取った。「彼女は僕の年を知らなかったらしいんだ。取引先はだいたいそうだけどね」。ビジネスは経験だと考える人たちの常識を、15歳CEOはあっさりとつき崩す。

 2000年はいくつかの事業を買収しフルタイムの従業員も雇う。「10代のトップのもとで働くことに戸惑う人も多いだろうな」。さすがに不安げのキャメロン君。「でも、学校の友達もすぐ同じようなことを始める。僕はその10年先を走る」といって、パソコンに向かった。

 国籍も年齢も性別も問わないインターネット。世界でいつ、どんなライバルが現れるかわからないから、みんな先を急ぐ。

 週3日の副社長

 99年2月、サンフランシスコ近郊に住む3児の母、サンドラ・カバナさん(39)がこの業界に飛び込んだ。新興ネット企業の一つの副社長ポストを2児の母、キャサリン・レインデッカーさん(38)と分け合う。水曜は2人とも出社、月、火はサンドラさん、木、金はキャサリンさんという週3日勤務。部下は20人いる。

 名刺も連名の「2人1役」副社長になったのは、家庭と仕事を両立させるため。「この世界はペースが10倍速い。そこで仕事しようと思ったら、子供が育つのを待っていられない」

 サンドラさんは出勤しない木曜日は家事の集中日と決めている。買い物、洗濯、車の修理と、あっという間に1日は過ぎる。仕事を始めて生活のテンポもほかの母親よりずっと速くなった。ストレスもあるが、それ以上に充実感を感じる。

 MBAより優先

 「あと1年、学校ぐらい出たらどうだ」「いや、それまで待てない」。99年夏、ミドラー兄弟は父親の反対を押し切って休学届を出した。兄のポール氏(31)はペンシルベニア大、弟のニール氏(30)はシカゴ大のいずれも名門MBA(経営学修士)の学生。将来、大企業の経営者を狙える道を歩き、1年後には卒業できるのに、それを中断しての転進だった。

 2人は半年前、新しい電子商取引の事業案を考え出した。すでにドイツやインドの投資家の目にもとまっている。「3、4カ月遅れればアイデアをとられるかもしれない」。2人は新事業を今月中に立ち上げる。「いまは息子たちを信じて応援している。私にはなかなか理解できないが……」と2人の父親ビルさん(54)は言う。

 地球規模の「高速社会」は人々が当然のように考えてきた人生スタイルも覆す。「いまの会社が成功したら大学に行かなくてもいい」。15歳CEOキャメロン君はそう考えている。

「2000年 地球人は」トップページへ戻る

NIKKEI NETの最新情報は画面を更新してご利用ください。
掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権は日本経済新聞社またはその情報提供者に帰属します。
このホームページに対するご意見・ご感想は webmaster@nikkei.co.jpまでお願いします。
NIKKEI NETはインターネットエクスプローラー4.0、Netscape4.0以上でご覧いただけます。

Copyright 2000 Nihon Keizai Shimbun, Inc., all rights reserved.