NIKKEI NET COMDEX Fall '98
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きょう、そして未来へ――より革新的に、より統合的に、よりシンプルに

 本当に色々なことがあった1年だったよ....そんな出だしでビルゲイツ会長はビデオの上映を始めた。飛び出してきたのは今MTVで人気番組「セレブリティー・デスマッチ」の場面だ。有名人がマットでデスマッチをするというこのアニメ番組で、粘土人形のビルゲイツ会長はアイルランド・タップダンサーのマイケル・フラットレーと最近戦った。
 ダンサーにしたたか殴られるゲイツ会長の場面に、リノ司法長官による独占訴訟や議会司法委員会で証言するゲイツ会長の姿、パイをぶつけられ戸惑う場面、デモンストレーションの大失敗などを巧みに挿入、会場は爆笑の渦と化した。

『驚異的な性能の向上』
 会場をなごませたところで「情報時代への期待と落とし穴」と題する本題に入った。まず64の韻を踏んで64ビットプロセッサー時代の出現や64個のマルチプロセッサー、64台のクラスタリング技術を紹介ディレクトリー機能などを示しながらPCをめぐる『驚異的な性能の向上』を説明した。次にシリコングラフィック(SG)社のトム・フルロン上席副社長が登場、一例として同社期待の新製品「シリコンパワーハウス」を紹介した。マウスが作る波紋に合わせて、次々とフルカラーの画面が移り変わるデモの美しさ・自然さに会場のあちこちから驚きの声がもれ「このソフトは4000ドルほどで来年始めには出荷できる」というフルロン氏の言葉に拍手もあがった。
 SG社は先頃、UNIXからNTにプラットフォームを変えると宣言したあと、なりを潜めていただけに今回の製品紹介は大きな関心を呼んだ。NTサーバーでハイエンドUNIXサーバー並の処理が出来ることを実際に証明するSG製品のデモだった。

『PCの日常品化』
 続いて、ハンドヘルドPCプロやパームサイズPC、eBooks、オートPC、ウェブTVなどの商品を示しながらPCの日常品化にテーマを移した。
 まず『紙を越えて』と題して1945年、バネバー・ブッシュ氏が提案した電子ファイルMemex Machineから始まる電子ブックの系譜を説明、百科事典については1994年に紙よりCD-ROMでの販売実績の方が上回ったとの指標を示した。
 大手出版社や販売店などが参加しHTML表記や利用権の処理、安全な電子配信方法などを検討しているオープン・イーブック規格に触れたあと、「しかし本当の挑戦はPC画面で本当に人々が書物を読むのかだ」とマイクロソフトが開発中のクリアー・タイプ技術の紹介に入った。
 壇上に現れたのはスカート姿で一目でスコットランド出身とわかるビル・ヒル研究員。従来のドット・マトリックスでは人が読めるほどの解像度を実現できない。しかしヒル氏の新技術を使えばLCDでも3倍の解像度を達成できると画面で示した。会場のプロジェクター画面でも特に大きなフォントでは違いが顕著に分かった。こうした技術でイーブックを実現すればPCはますます日常化すると主張した。

『シンプリシティー』
 ゲイツ会長が得意のシンプリシティーの話題に移ると、いつものように楽しいビデオが登場した。深夜番組で有名なキャスターのレノ氏が一般市民に「インターネットを使っている?」「それって何」などと次々に質問。「インターネット情報はビルゲイツの家にあるメインフレームから発信されてるのさ」といった面白い回答や、サタデーナイト・ライブというコメディー番組をもじったコントをビル・ゲイツ自身が演じる場面も登場して、またもや会場は大笑いとなった。
 そしてシンプリシティーの点ではプリンターとの接続やメモリーの増設、ネットワーク、グラフィック・ユーザー・インターフェース、モービリティーなど様々な面で取り組んでいるとし「単純に確実に繋がること」や「自分で診断し、自分で問題を解決する能力」などが重要だと指摘した。
 また「ボクのPCにある未知のファイル」と一連のファイル名を紹介。「このファイル名がどのアプリケーションから来たかをだれが一体答えられるのだろう」と言って会場の笑いを取ったあと、「コマンド、人々、インターネットなどを統合するのが重要だ」と、「ウィンドウズ2000」(=NT5.0)と「SQLサーバー7.0」のデモに入った。
 電子メールとスケジュール機能、SQLサーバー機能の一体化などを紹介した中で、特に注目を集めたのが普通の言葉で質問するとデータベースが自動的に検索してくれる「自然言語検索」技術と「ウィンドウズ2000」の多言語対応機能だ。
 カジノ情報をまとめたデータベースを使って見せた自然言語検索は「会場に近くて、ブラックジャックが出来るところ」といった普通の文章を類推、クエリーというデータベース検索用語に自動変換する技術。様々な入力でどんどん絞り込み検索できるところがゲイツ氏の「シンプリシティーの実例」というわけだ。
 また「ウィンドウズ2000」のデモでは「オフィス2000」の重要ファイルをわざと消して、自動的にシステムが分析、修復するところを示した。また日本語も含めて4カ国語でスペルチェックしたり、データベースのフィールドを電子メールに張り付け、受け取った人が自動的に検索結果を得られる場面では、会場から大きな歓声があがった。

『プライバシー』
 終盤ではプライバシー問題が今後の情報時代、ますます重要になると指摘した。そして指紋や音声、ICカードといったアプローチや暗号の重要度がますますあがるだろうと指摘した。
 一方、パスワードを使った解決策は不十分だと主張した。プライバシーの問題は、学校に通う子供の情報や医者が持つ患者情報など、保護すべき対象は広く「デジタル・プライバシー権」の必要性を訴えた。同時に「カスタマーがプライバシー情報を自分で管理できるチョイスを与えること」がマイクロソフトの基本方針だと強調した。またインターネットの消費者保護活動を進めるBBB(ベター・ビジネス・ビューロー)やイートラストなどとの連帯も重要だとした。

『PCで充実する生活』
 講演の最後、エクストリーム・モトクロスのラスティー・クランク氏がバイクで登場した。彼は、荒れ地をバイクで空高くジャンプするといったスリリングなビデオクリップを見せるとともに、最新モトクロスゲームやフライトシュミレーターなどホットなPCゲームの数々を紹介した。こうして様々なアプローチが進めばPCが音楽や電話、玩具、デジタル写真などに広がり、人々の生活が充実するというわけだ。
 こうしてゲイツ氏は「このように機能が脅威的に伸びるPC時代、プライバシーといった落とし穴を克服することで、ますます充実した生活ができるだろう」と今後のPCのいっそうの活躍を約束して講演を締めくくった。

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