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(6/7)グリーンゲーム前面に
 シドニー五輪は「グリーンゲームズ」とも呼ばれる。大きなテーマとして環境への優しさを掲げる。

 五輪史上最大の11万人の収容人員を誇り、開閉会式、陸上、サッカーを開催する「スタジアム・オーストラリア」。座席にはプラスチック廃材を混ぜたリサイクル素材を使用した。アーチ型の巨大な屋根に落ちた雨水は節水のためタンクに貯蔵される。自然光を十分活用できる構造で、エアコンの使用も自然換気によって極力抑えるシステムになっている。スタジアム横の通りにはソーラーパネルを設置した街路灯が並ぶ。

 同スタジアムをはじめ競技施設が集中する五輪公園は、もともと産業廃棄物の処分地だった。ダイオキシンなど有害物質が含まれた土壌を浄化処理、改良した上に建設した公園自体がグリーンゲームズの象徴だ。「他の候補地よりコストはかかったけど、あえてここが選ばれた」とシドニー五輪組織委員会(SOCOG)のジャッキー・ヘリヤー環境広報部長。この地区から姿を消していた野鳥なども戻ってきたという。

 SOCOGはグリーンピースなど環境保護団体と協調路線を取り、意見交換して対策を練ってきた。冬季五輪では施設建設が環境破壊とつながることは珍しくないが、夏季五輪で環境対策をテーマに掲げたのは初めてのことだ。ヘリヤー氏は「これからは夏季五輪でもこれが当たり前。次に続く都市は、私たちよりさらに上のステージを目指してほしい」と話す。

 シドニー五輪の輸送計画を担う五輪輸送公社(ORTA)のポール・ウィロビー広報部長のデスク横に、2年前の長野五輪に関する新聞記事のスクラップがピンでとめてあった。

 「スキーのジャンプで、観客の輸送バスが間に合わなくてチケット代を返還したんだって。こんなことを起こしちゃいけないと、いつも眺めてるんだ」

 17日間の五輪期間中、人出はのべ800万人を超える。市中心部から西へ約20キロの五輪公園には1日最大50万人が繰り出す見込み。いかにスムーズに観客を導くのか。

 「会場周辺の駐車場はいっさい使用させない。自家用車規制はしないが、だれも車を使おうとはしないだろう」とウィロビー氏。

 観客全員に対して手荷物検査も必要だ。同公園に鉄道とバスで到着する観客はピークで1時間に10万人。公園入り口のゲート前で止め、全員のバッグを開けて調べ、金属探知機もくぐらせる。「1人平均30秒で処理する。そうすれば待ち時間は10分から20分程度ですむ計算になる」と担当者はいうが……。

 車社会に慣れた市民も、混雑や行列覚悟で公共輸送機関を選ばなければならない。ウィロビー氏は「五輪はある程度の(地元の)犠牲がなくては開催できない。みんな受け入れてくれると思う」と話す。

 前回アトランタ大会はIOC加盟197の国・地域がすべて参加する初の“完全五輪”だった。現在IOC加盟国・地域は約200。今回もアトランタを上回る史上最大の国・地域がシドニーに集うことは確実な状況だ。

 IOCは夏季五輪の参加選手数を1万人前後で据え置く方針だが、競技団体や五輪放映権を持つテレビ局の圧力などで、選手数は抑えても競技、種目数は増える一方。

 巨大化した五輪は開催都市に数多くの難題を突きつける。環境問題、交通システムの準備、膨れ上がる予算の調達、運営スタッフの確保、警備――。「過去にだれもやったことがない準備をしなくてはならない。それが五輪だ」とSOCOGのサンディ・ホルウェイ事務総長。五輪は人類史上最大のイベントとなり、現代都市が抱えるさまざまな問題に対処する“実験場”でもある。



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