 | | 疑問が残る判定に表彰台でうつむく篠原 |
【シドニー22日=中前博之】「一本勝ち」を決めたはずの技に対して、相手が逆に「有効」ポイントを獲得、篠原信一選手(27)の目の前から金メダルがするりと抜け落ちた――。シドニー五輪の柔道最終日となった22日、男子100キロ超級の決勝は疑問が残る判定の結果、大本命の篠原選手が「銀」に終わった。試合終了後、日本チームはミスジャッジがあったと懸命に抗議、会場は一時騒然とした雰囲気に。直前に女子78キロ超級で山下まゆみ選手(24)が銅メダルに輝いた喜びも吹き飛ぶような、快進撃を続けた日本柔道にとっては、後味の悪い締めくくりになった。
100キロ超級で3大会ぶりの金の期待がかかった篠原信一選手。仏ドイエ選手の仕掛けた内またをすかし、豪快に相手を畳にたたきつけた瞬間、一本勝利を確信した篠原選手は両手を挙げ、ガッツポーズを見せた。周囲も金の喜びに沸いたその直後、掲示板にはドイエ選手に「有効」の判定が示された。
目を疑う篠原選手。無精ひげに包まれた口を大きく開け、「ウソー」と叫ぶ。山下泰裕監督、斎藤仁コーチが誤審を必死にアピールするが、聞き入れられない。
白い歯をむき、かみつかんばかりの表情で再びドイエ選手に挑む篠原選手。しかし、斎藤コーチが「前へ出ろ、前へ出ろ」と必死で叫ぶ中、ショックから抜けきれないのか、なかなか技を繰り出せない。
逆に再度の有効を取られた篠原選手は、ドイエ選手にプレッシャーを与えられないまま。試合終了直前、山下監督が両手を大きく広げて「ノー」と怒鳴るが、無情の5分間は過ぎ去った。
だれもが釈然としない「銀」。篠原選手は表彰台に向かう途中も、悔し涙で目を赤くしてうなだれたまま。名前を呼ばれて台に上る途中も歓声にこたえることも、笑顔を見せることもなかった。 |