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小・中学校時代、柔道に明け暮れた井上康生選手のそばには、いつも笑みをたたえた母、かず子さん(昨年死去)の姿があった。宮崎県の静充館道場の元コーチで、現在は宮崎日大高柔道部監督の荒川幸徳さん(40)は「康生は本当にお母さんっ子だった」と振り返る。
かず子さんは井上選手が東海大相模高(神奈川県相模原市)に進学した後も、宮崎日大高の道場に通い、我が子のように柔道部員の面倒をみた。病気で入院中に、「柔道を見ないと元気が出ない」と試合の応援にも出かけた。高校3年の井上選手が、高校総体の個人戦県予選の決勝で敗れた時には、準優勝の賞状を破って奮い立たせようとしたこともあったという。
昨年6月、かず子さんが急逝した際、井上選手は葬儀の席上、号泣しながら、「必ずオリンピックで金メダルを取る」と誓った。荒川さんは「康生は技術的には完成していた。ただ柔道生活が順調過ぎて精神面でどこかにすきがあった。母の死で人間的に成長して、大人の柔道家になった」と話す。
この日、井上選手の試合をテレビで見た荒川さんは「最高です。すばらしい柔道を見せてくれてありがとう」と声を弾ませていた。
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