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【シドニー16日共同】恋い焦がれた金メダルが胸に光り輝いた。手に取ってほほ笑む。キスをして声援にこたえる。「初恋メダルです」。表彰式で君が代を聴くと、田村亮子選手(25)は、日の丸で埋まった1万人のスタンドに両手を広げた。観客は立ち上がり、偉大な「勝負師」を拍手で包んだ。
決勝は36秒で一本勝ち。両腕でガッツポーズをつくり、畳の上でジャンプを繰り返す。感極まり両手で顔を覆った。笑顔と泣き顔が入り交じり、146センチの体に大きな喜びがあふれた。
試合後「正直、大変なプレッシャーでした」と打ち明けた。「もう(競技生活を)終わってもいい」とも漏らした。
初戦の約2時間前、観客席に1人座り、畳を見詰めてヘッドホンで音楽を聴いていた。いつもの笑顔はない。かすれがちな声で何か歌っていた。
初戦の動きは硬かった。重苦しい空気の中の闘い、2戦目は「行け行けタムラ」の大声援を背に、豪快に投げ飛ばした。
小学校から帝京大まで恩師の稲田明さん(54)。「最初はいつも硬いんです。何度も失敗してます。でも足を使って動き回って(次の準決勝で)北朝鮮の選手に勝てれば、今度こそいけると思います」と手ごたえを感じ取っていた。
準決勝は明らかなポイントがなかった。応援の声が次第に小さくなっていく。試合終了のブザーが鳴る。しかし、こぶしを握り小さくガッツポーズをした。旗は3本上がった。
「多くの人に支えられてきました。この人たちのためにも、この4年間のすべてを4分間にかけようと思いました」
「今日は全試合、全力でやりました。金メダルまで(バルセロナ五輪から)8年…。たくさんの時間を費やしてきました」
流ちょうないつもの田村選手とは違う。一言ひとこと話すたび、目頭を押さえた。
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