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マウンドの黒木が再三、ユニホームの左胸を触った。「しびれました」。勝負度胸が自慢の“ジョニー”が、極度の緊張から、胸に縫い込まれた日の丸に救いを求めていた。
三回、8月まで中日でプレーしたニルソン(日本登録名はディンゴ)に逆転3ランを浴びた。「日本では対戦したことはないが、スキのないバッターだと感じた。やっぱり大リーガー」。相手が日本でほとんど二軍暮らしだったことなど忘れていたようだ。
「あれは僕の責任」と捕手の鈴木。1カ月前はチームメートだったディンゴへの自らの意識過剰を挙げる。「考えすぎて、あのときだけ大事にいこうとしすぎた。黒木さんの気合を引き出すようにぐいぐい押せばよかった」。なまじ敵の弱点を熟知しているがゆえに慎重すぎた。
だが、被弾のあとはバッテリーに強気が戻った。今大会で使用するボールの感触は「日本より重くて肩、ひじにずしりとくるけど、よく曲がる」(黒木)。バットのしんを外して、ニルソン以外はほぼ手玉に取った。
粘る黒木を救ったのが、1番の沖原。勝負を決めた六回の3ランなど4安打の大当たり。おとなしかったアマ選手にやっと元気が出てきた。松中が足の故障で指名打者に回り、組み替えた打線がはまっている。初戦の対米国は1番だった田口を3番に置き、田口―中村―松中―田中とプロ4選手の中軸で、重心がしっかりした感じだ。(串田孝義) |