 | | 金メダルから一夜明け、記者会見を終えて大きく伸びをする高橋尚子選手(25日)〔共同〕 |
【シドニー25日=遠藤繁】シドニー五輪第11日の25日午前、女子マラソンで五輪新記録を出し、五輪で女子陸上史上初の金メダルを獲得した高橋尚子(積水化学)と小出義雄監督が記者会見し、改めてレースを振り返った。高橋は米コロラド州での空気の薄い環境での高地練習に触れて「練習の方がきつかった」と語った。28日に帰国予定で、12月の全日本駅伝のメンバー入りを目指すという。また小出監督が「今度は記録を狙う練習をする」と語ると高橋も微笑をたたえ、ロルーペ(ケニア)が持つ世界記録2時間20分43秒を切ることに照準を合わせた練習に入ることも明らかにした。高橋と小出監督の主な一問一答は以下の通り。
――一夜明けた感想は。
高橋 高地練習がきつくてはあはあ息をしていても何で酸素が入ってこないんだ、といつも思っていた。レースよりもきつかったがシドニーに来て酸素を吸えて、レースにも対応できた。レース当日も前日も全然緊張せず、監督に「こんなに緊張しなくてもいいのか」と尋ねたくらい。練習の感覚でスタートできた。これで終わった感じがしない。普段の生活の1日が終わっただけのような気がする。そして今朝すがすがしい朝の冷たい空気に触れてやっぱり走りたいと思った。(今朝)走ってみて私は本当に陸上が好きなんだと実感している。
――18キロ近辺と35キロ地点で前に出たのは予定通りだったのか。
高橋 自分に余裕があれば前に行こうと考えていた。隣で走っていた人が遅れたから出たように見えたかもしれない。アンザック・ブリッジで前に出たのは頭にないことだった。32―35キロは好きで得意なコースなので仕掛けるならここで、と監督には自分で言っていた。39キロまでは楽だったが40キロ過ぎたあたりの坂が一番、本当に苦しかった。
――平らなコースなら世界記録を狙えたか。
小出監督 平らで気温が低ければ2時間18分―19分は狙えた。2時間20分台は確実に切れたし、そういう力を高橋はつけてきている。悪く見積もっても2時間20分程度のタイムを出す力を持っていないと24日のレースのような走りはできない。ただ自分としては高橋に休んでもらってふっくらした方がいいと感じている。
高橋 私は体調も良かったし平らなコースなら自己ベスト(2時間21分47)を絶対切れたと思う。2時間20分を切るという感覚が分からないがいけるかな、という体調でレースは臨んだ。
小出監督 記録よりも五輪は勝つことが大事、と高橋には言ってきた。だから(記録を狙えば)前半でもう2分縮めることもできたが、勝つのが大事だからゆっくり落ち着けと指示した。お前が得意なコースだぞ、と声をかけた。
――最大のライバルはだれか。
小出監督 ロルーペしか考えていなかった。世界記録を持っており強いし1万メートルも走れる。ただレースでは13キロ時点で遅れており、コーチを集めて高橋に「ロルーペは遅れている」と伝えるように指示した。それは以前「ロルーペがいなかったら勝てる」と言っていたから。
――昨夜の祝勝会はどんな形だったのか。
高橋 表彰式の前、2位のシモンさんにマクドナルドのハンバーガーをおごってもらった。皆が一緒ということもあっておいしかった。その後監督とカップラーメンを食べて寝たのでお祝いというお祝いをしていない。気持ちの入っている1つ1つが私にとっておいしい。
――今後の予定は。
高橋 まだ自分の1日の予定も把握していないが……。28日に帰国する予定で、会社に行ったり地方のマラソン大会に出たりしたい。12月の全日本駅伝メンバーになることが目標だ。
小出監督 プロやアマチュアの問題ではなく、皆に応援してもらっている。夢をはぐくむようなマラソンをしてくれ、と言ってきた。今度は記録を狙う。世界記録を出すレースの時は最初からいく。どこまで持つか、耐えられるまでまずは練習する。今回は足が(長時間)持つような練習をしてきた。コースによって練習内容は変わってくる。 |