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柔和だった市橋の表情が、にわかに険しくなった。アンザック橋にさしかかる27キロ付近の上り坂。高橋とシモンについていけない。「おなかが痛くなってしまった」。差はどんどん広がる一方だった。
昨年も合宿をしたスイスの山の中で、じっくり準備を整えた。2位になって代表の座を射止めた昨年の世界選手権前より「レベルアップした練習ができた」と自信を持っていた。
しかし出場選手中2番目に若い22歳は、これがまだ5度目のマラソン。経験の少なさは、スタミナ切れを予測できなかった。「後半のアップダウンを甘く見ていた。前半、体が軽くて足が動くままに行ってしまった」と悔やんだ。
前半18キロすぎの高橋の仕掛けに、水のボトルを投げ捨てて食らいつき、20キロすぎからは3人に減った先頭集団で踏ん張った。桜井陸上監督は「3人のグループで日本人が2人いたのは、高橋さんにも心強かったはず。効果があった」と、積極的な走りを評価した。
もともと市橋が狙っていたのは次回のアテネ五輪だった。15位に終わったものの、4年早く巡ってきた舞台で、貴重な経験を手にいれた。(共同)
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