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「ピンバッジ」熱にわくシドニー
ダーリング・ハーバー地区では世界中のコレクターが集まりピンバッジを陳列している
 連日五輪にわくシドニーではもう1つの「非公式種目」が競技場外で繰り広げられている。それは胸につけるピンバッジ収集。世界中のコレクターが集まってコレクションを自慢し合い、時には値段をつけて商談する。米コカ・コーラはシドニーの観光スポット、ダーリング・ハーバー地区にピンバッジの交換専用所を設けて、ピンバッジ熱の盛り上げに一役買っているほどだ。

 カナダから来たというデニスさんはダーリング・ハーバー地区で自慢のコレクションを陳列し、1本10豪ドルで売りさばく。普段はセールスマン。「五輪スポンサーのピンやメディアのバッジを探しているんだ。特定の人にしか配られないし、希少価値が高いんだ」。そのせいか世界の報道陣が集まるプレス・センターでも時折、「ピンはないか」と各社のブースを訪ね歩く人が少なくない。コレクション目的だけでなく、こうした需要にこたえ高く商売するためだ。各国のオリンピック委員会が作るピンバッジも人気が高い。

 長野からやってきた清水明さん(47)は会社を退職してシドニー入り。夫婦そろってピンバッジに夢中だ。「13日から10月10日までいるつもりだが、会社はこんなに休ませてくれないので辞めてしまった」と笑う明さん。傍らでは妻・君子さん(41)もTシャツにピンバッジをたくさん付けて「まだ家にはここに陳列できないくらいコレクションがあるんです。きれいだし、一度始めたらやめられない」と話す。

 清水さんの陳列品の中でも人気が高いのはシドニーでも話題の「ポケットモンスター」に出てくるキャラクター「ピカチュウ」。通りすがりの家族連れの観光客からも「いくらで譲ってくれるのか」と人気が高い。清水さん夫婦の熱中ぶりは地元長野冬季五輪の盛り上がりが契機。「世界の皆と知り合いになれるし、こんな楽しいことがあるのかと気が付いた」(明さん)という。清水さん夫婦はピンバッジ1本を5豪ドルで売っている。「10豪ドルって言うとお客さんは離れてしまう。長野ではその程度の価格でも買い手がいたんですけど、物価の違いですかね」(君子さん)。

 ピンバッジ交換は五輪開催では有名な行事。米コカ・コーラはダーリング・ハーバー地区に交換所を設け「売買はやめて、楽しく交換しよう」と呼び掛ける。従ってコカ・コーラが押さえた場所では交換目的のコレクターだけが集まる。そこではコカ・コーラだけが公認バッジを12―20豪ドルで販売している。ダーリング・ハーバーに集まるコレクターたちはこのコカ・コーラ商法に「したたかだ」と反発する。毎日違った形のピンバッジを売り出して、集めて組み合わせると1つのコカ・コーラ瓶を形作ることができる、というコレクター心を刺激する商魂たくましさだ。

 ダーリング・ハーバー地区は観光客が集まり、ピンバッジのコレクターたちにとって様々な種類を調達する貴重な場所。シドニー五輪の開催競技場は市内から電車やバスで30分以上離れており、コレクターにとっては中心街の方が集めやすいようだ。しかも世界中から集まるので「場所取り競争」もし烈を極める。清水さん夫婦は「土・日はまだ寒いけど午前7時にはここへ来て、いい場所を確保します」という。

 日本コカ・コーラによれば1908年のパリ大会で公式のピンが作られ、1912年に初めて記念品として観客向けの販売が始まった。コカ・コーラはカルガリー冬季五輪(88年)から交換所を設けて深くかかわっている。98年の長野冬季五輪は45万人以上のマニアが集まった。大会も終盤に入り、観光の記念として買い求める人も少なくない。柔道の女子48キロ級で金メダルを取った田村亮子も、記者会見では無数のピンバッジを付けて現れ、流行に敏感なところを見せた。ピンバッジ熱はすそ野を広げながらますます盛り上がっていく様相だ。(シドニーで、ネット編集部 遠藤 繁)〔9月28日〕

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