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豪州スポーツ支えるナゾのマーケティング会社
ソープ=写真=ら豪水泳陣の活躍のウラにあるのが、マーケティング会社SMAMの存在だ〔著作権:AP.2000〕
 魚雷のニックネームで男子競泳200メートルと400メートルで世界記録を持つソープ、マダムバタフライの愛称で親しまれるバタフライの第一人者オニール。間もなく開幕するシドニー五輪で大活躍が予想されるオーストラリアの水泳陣だが、その水泳チームを陰で支えてきた民間企業がある。マスコミに登場することがほとんどないその会社とはスポーツ専門のマーケティング会社「スポーツ・マーケティング・アンド・マネジメント(SMAM)」だ。

 ・30%を超える視聴率

 「水泳の成功は我が社の誇りだ」とSMAMのマイク・ブッシェル社長は胸を張る。ブッシェルさんはSMAMが設立された85年から社長を務め、それ以前は競泳用水着の最大手スピードでマーケティングを担当した経験を持つ人物。水泳などのスポーツを商品のように企業やマスコミに売り込む専門家だ。

 今年5月にシドニー五輪公園の水泳競技場で行われた競泳の五輪代表選考国内大会。五輪向けに4500席から1万2000席に増築された競技場は連日満席となり、テレビでは8日連続、しかも夜7時から8時半というゴールデンタイムに同大会の模様が生中継され、視聴率は30%を超えた。また新聞も連日3、4ページを割いて同大会の特集を行った。

 だが90年代初めまで、これほどの人気はなかった。「マーケティングという観点から、水泳はうまく宣伝されていなかった」という。

 93年に豪州の水泳連盟にあたる「オーストラリア・スイミング」がSMAMと契約を結び、マーケティング部門の運営を委託した後、まずブッシェルさんが手掛けたのが「水泳を国民にこれまで以上に知ってもらうこと」つまりPRのやり直しだった。

 新聞に水泳をなるべく多く、しかも大きな大会の無い時期にも取り上げてもらうために、「選手のプライベートな側面の情報をマスコミに提供することで、水泳の記事をスポーツ面だけでなく一面や女性誌などで取り上げてもらうよう努力した」。93年には民放最大手の「ナイン・ネットワーク」に2万5000豪ドル(1豪ドル=約61円)を支払い、水泳大会のテレビ中継を依頼した。

 ・国内最大企業と契約

日本チームのマーケティングもやってみたいというSMAMのブッシェル社長
 国民の間に水泳人気が高まり始めると、オーストラリア・スイミングに対するスポンサー権の販売に乗り出した。

 間もなく豪通信最大手で国内最大の企業でもあるテルストラがスポンサーに決まり、同社からの豊富な資金を使ってコーチを雇い入れたり、トレーニングのためのキャンプを開いたりと、水泳陣強化のための様々なプログラムを行うことができた。これが、豪水泳陣の実力アップに大きくつながった。

 現在、オーストラリア・スイミングとスポンサー契約を結ぶ企業はテルストラのほか、カンタス航空、キヤノンなど5社となり、99年度のスポンサー収入は約122万豪ドルと4年前の2.2倍にもなる。

 豪水泳陣の陰の立役者であるSMAMはこのほか豪オリンピック委員会(AOC)のマーケティング部門の担当を85年の設立時から担当している。その関係でシドニー五輪組織委員会(SOCOG)とも契約を結び、SOCOGとスポンサーとの交渉、シドニー五輪関連のキャラクター商品のライセンス権販売などを代行している。

 海外進出にも力を入れ、99年1月からは英オリンピック委員会のマーケティングも手掛けるようになった。さらにニュージーランド・オリンピック委員会に対するコンサルティングも行っている。

 その他、これまで興行主がバラバラだったオーストラリア国内でのプロゴルフツアーを「豪PGAツアー」として一本化するなど、担当するスポーツ種目の幅も広げつつある。

 ・日本チームにも関心

 「売り上げは順調に伸びている」とブッシェル社長は言う。しかし、「具体的な売上高は言えない。我が社はプライベート企業だから」と目をつむる。

 シドニー五輪期間中に豪州競技陣の活躍が世界中に報道されるのはほぼ確実だ。五輪後、世界のスポーツビジネスの関係者からの注目がブッシェル社長率いるSMAMに集まるのは間違いないだろう。

 ひょっとすると五輪における凋落(ちょうらく)が目立つ日本の助っ人にSMAMがなってくれるのではないだろうか。そう思って、日本チームのマーケティングをやってくれないかとブッシェルさんに尋ねてみた。「日本チームから頼まれれば、やってみたいと思うよ。このビジネスを大きくしていこうという気持ちは強い」。

 明日の日本のスポーツ界をブッシェルさんに賭(か)けてみるのも、面白いのではないだろうか。

(シドニー支局=大石信行)

[9月5日]

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