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ゲイの閉会式参加を巡って議論沸騰
閉会式には多数のドラッグ・クイーンが登場する。(シドニーのショーパブ「アーニーズ・バー」=写真 剣持常幸)
 シドニー五輪の最後を飾る閉会式に同性愛者のグループが参加することが明らかになった。「ゲイやレズビアンはオーストラリアの文化・社会の一部として定着。閉会式に登場するのは当然」と賛同する声が上がる一方で、「同性愛は豪文化やオリンピックの精神のいずれも表現するものではない」(地元教会関係者)との厳しい見方もある。

 ・「文化紹介の一部」

 開会式や閉会式のプログラムは五輪のトップ・シークレットだが、関係者の話しを総合すると、ドラッグ・クイーン(=女装した男性)に扮(ふん)した200人近いゲイのグループが屋台にのって会場となるメーンスタジアムを練り歩くらしい。

 ナイト・シドニー組織委員会(SOCOG)会長は「豪州の文化紹介の一部として豪州映画をを取り上げるが、そのなかにドラッグクイーンが出てくる」と説明する。豪州映画で世界的にヒットしたものには「クロコダイル・ダンディー」や「ベーブ」などがあるが、ドラッグ・クイーンが登場する映画と言えば「プリシア」だ。

 プリシアは、シドニーのショーパブに出演するドラッグクイーンのひとりミッツィが、仲間二人ととともに豪州の中央部にあるアリススプリングズまでバスで旅行し、妻子と再会するという物語。

 旅の途中で差別されたり、新しい恋いが生まれたりというストーリーで、94年のカンヌ映画祭の人気投票でトップになったほか、95年にはアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した。

 作品が制作された94年は、軍がゲイの入隊を認めるなどゲイの社会的地位が高まった年。プリシアは時代的ムードを反映した作品でもあった。

 ・根強い拒否反応

 豪州では緑の党のボブ・ブラウン氏などゲイであることを明らかにした国会議員が誕生するなど、ゲイやレズビアンを社会の一員として迎える傾向が定着しつつある。

 特に、同性愛者の位置づけを象徴しているのが、毎年3月初めに開催されるカーニバル「ゲイ・アンド・レズビアン・マルディグラ」。

別名ゲイ・ストリートのオックスフォードストリートにはマラソンコースであることを示すブルーライン(中央の青線)がひかれている
 別名「ゲイ・ストリート」であるオッスフォード・ストリートを中心に、派手なコスチュームのゲイ・レズビアンがパレードするものだ。

 世界最大の同性愛者のフェスティバルで、今年の参加者は6000人。観客は60万人に達した。スポンサーには通信最大手のテルストラや航空最大手のカンタスなど豪州の代表企業が名を連ね、経済効果は約1億2000万豪ドル(約72億円)にもなったほどだ。

 世界的に見れば、豪州はゲイ・レズビアン先進国と言えそうだが、同性愛者に対する拒否反応もまだまだ根強く、今回の論争の原因もそこにある。

 体外受精(IVF)を巡る最近の議論も「拒否反応」を象徴した現象の一つだ。

 現在、西オーストラリア州やビクトリア州は、単身の女性や同性愛の女性カップルがIVFを利用して、子供をもうけることを禁止している。だが今年7月、連邦裁判所が両州の規制は連邦法の「性差別禁止法」に抵触するとの判決を出した。

 ところが、保守的な考えで知られるハワード首相は逆に連邦法を改正することで、同性愛カップルのIVF利用を認めない方針を表明した。

 ・ショーパブは取材拒否

 ドラッグ・クイーンが閉会式に登場することが明らかになった直後、当のクイーンたちの声を聞きたいと、市内にあるショーパブへの取材を試みた。しかし、どのショーパブも取材を拒否。ある関係者は「閉会式にドラッグ・クイーンが出演できるということは、ゲイ・コミュニティーにとってはとても大切な意味を持つ。何か言えば、開会式への出場が取り消される恐れがあるから、今は何もしゃべりたくない」と説明する。

 SOCOGも同性愛者の象徴としてドラッグ・クイーンを取り上げるのではなく「内外の評価が高い映画であるプリシアを取り上げるだけ」といった分かるようでよく分からない声明を発表することで、議論の火消しに躍起だ。

 ドラッグ・クイーンの間に厳しいかん口令が徹底されたこともあって、彼女?らの閉会式出場を巡る騒ぎは沈静化しつつある。

 もっとも、10月1日の閉会式後に再び議論が盛り上がることは必至だ。

(シドニー支局=大石信行)

[8月29日]

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