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五輪騒ぎ避けシドニー市民50万人が脱出
「五輪が生む混雑、物価の上昇を嫌うシドニー市民も多い(シドニー市内)」
 シドニー五輪開幕まで1カ月を切ったシドニー。クールな市民の間にも少しずつだが、一生に一度あるかないかという地元開催の五輪を楽しもうというムードが盛り上がりつつある。だが、五輪の盛り上がりをよそに、市民370万人のうち50万以上の人たちが、五輪開催中の人込みや高騰が予想される物価などを避けて、シドニーを脱出するというから驚きだ。

 ・“ウラ便”が人気

 「ウラ便が人気を呼んでいるんですよ」――。日本航空シドニー支店の営業・旅客マネジャー山口栄一さんは思わぬ誤算に、にっこり。日本航空は五輪開幕に合わせて、日本人選手・役員や観光客を運ぶ臨時便を日本からシドニーに向けて十便近く運航する。

 日本に戻る際の“ウラ便”はカラのまま帰国するのが当初の予定だったが、「空席のままではもったいない」と、全体のうち3便分の日本行きチケットを通常の3分の1近い550豪ドル(約3万5000円)前後で売り出した。これがシドニー市民の間で人気となり、これまでに全座席の約6割を販売したという。日本人の利用客もあるが、多くが地元のオージー。「このチャンスを生かして、日本を旅してみたいというオージーのお客さんが結構多い」と山口さん。

 シドニー五輪の公式スポンサーである豪アンセット航空が先月まとめた調査でも、また市民の9人に1人が五輪期間中にシドニーを離れる見通しだ。

 国外に脱出するというのが55%、シドニーのあるニューサウスウェールズ州以外の他州へ行くという人が24%、ニューサウスウェールズ州内のいなかに行くというのが14%となっている。

 ・尾を引くスキャンダル

 それでは、なぜこれだけたくさんのひとがシドニーを脱出するのだろうか。一つは以前にこのコラムで紹介したことがあるが、過去のスキャンダルによる負の影響がいまだに尾を引いているということもあるだろう。アンセットの調査でもシドニーのあるニューサウスウェールズ州の州民のうち五輪に対して良い印象を持つ割合は59%にとどまり、前回のアトランタ大会での水準(70%)を大きく下回っている。

 だが、期間中に予想される人込み、物価が上昇、交通渋滞などによって、暮らしにくくなるというのが、もっと大きな理由ではないだろうか。

日航が売り出した日本行き格安チケットが人気に(シドニー市内の旅行代理店で)

 最近、シドニー五輪組織委員会(SOCOG)からこんな連絡があった。

 「予約されているホテルの駐車場ですが、車の出し入れができるのは午前3時から午前4時半の1時間半に限られます」と。

 一瞬、耳を疑ってしまった。駐車場は五輪取材に使う車両の駐車場にと確保していたものだが、その時間しか出し入れができないならば、駐車場としての意味が全くない。再度確認しても「午前3時からの1時間半」との答え。

 SOCOG側は「ホテルの前の道路が交通規制の対象となるため仕方がない。州政府が決めたことでSOCOGの力ではどうにもならない」の一点張りだ。

 ・タクシー初乗り料金3倍

 物価の上昇も確実。地元タクシー会社は五輪期間中の初乗り料金を通常の約3倍、それ以後は2割増とすることをすでに表明した。レストランの中にも“五輪スペシャルメニュー”として通常の1.5倍程度の価格設定を予定しているところが多い。さらにスポンサー企業や各国選手団の貸し切りとなり、一般客が利用できないレストランも増える。

 手元にシドニー空港の予測する同空港の利用者予測の数字がある。五輪開会式の行われる9月15日に同空港国際線を利用して国外に出る人の数を1万3000人と見ている。当日の到着客2万1000人と比較すると少ない数字と一見思ってしまってもしかたがない。

 しかし、普段のシドニー空港での出国者数は一日当たり9000人前後に過ぎず、1万3000人というのは通常の4割増しの数字なのだ。

 シドニー空港では五輪に向けて利用客の増加による大混雑が予想されている。しかし、五輪に出場する選手・役員や観戦客だけでなく、五輪を嫌って多くの市民がシドニーを脱出する影響も大きいことを忘れるわけにはいかないだろう。

(シドニー支局=大石信行)

[8月22日]

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