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五輪競技番組をパソコン配信・豪VB、「かけ」も検討
 想像力を少しばかり働かせてほしい。

 シドニー五輪の開幕から11日目。あなたのパソコンの画面に放映されているのは陸上女子400メートル走の決勝戦の模様だ。オーストラリアの先住民アボリジニの血を引くキャシー・フリーマンがいよいよ登場した。

 スタート前にやっておきたいことが一つある。パソコン画面上の「ベッティング(かけ)」のアイコンをクリック。フリーマンの優勝に100豪ドル(約6400円)をかけてみる。競馬などを除く一般のスポーツでかけ事をするのは日本では違法だが、豪州では合法だ。 フリーマンは見事に優勝。もうけたお金でフリーマンが履いている同じ型のシューズを購入することにする。「ショッピング」のアイコンをクリックし、さっそく注文した。 

・パソコンならではの付加価値も

 夢物語のようだが、これに近いサービスがシドニー五輪を機に始まろうとしている。豪ベンチャー企業、アクセス・ワン(シドニー)の試みだ。

 「我々は世界で初めてパソコン向けに五輪競技を放送する会社となる」 アクセス・ワンのデービッド・スペンス会長は胸を張る。豪州国内で五輪の放映権を持つセブン・ネットワーク(シドニー)が制作するケーブルチャンネル向けの放送をインターネットプロトコール(IP)に変換したうえで、通信衛星経由で契約者のパソコンに配信する。放送時間は1日合計69時間に達する。

 アクセス・ワンは昨年末に設立された。衛星を使った高速度のインターネットサービスをまず開始。そして今年5月からはラグビー中継や金融情報をパソコン向けに衛星経由で放送するサービス「アクセスTV」を開始した。このアクセスTVに五輪放送が加わる予定だ。

 五輪放送は3チャンネルとなる。人気競技を放送するメイン・チャンネル、豪州であまり注目されない体操、バレーボールなどのマイナー競技を放送するチャンネル、さらにエスニック視聴者向けチャンネルとなる。エスニックチャンネルはアジア系移民向けに柔道やテコンドーを、欧州系住民に向けにサッカーの試合などを放送する計画。

画面をクリックすれば、選手と同じシューズがその場で購入できるようになる日も近そうだ。(今年7月、スイスの国際大会400メートル走で優勝したフリーマン選手〔著作権:AP.2000〕)
 もっとも、パソコンに五輪競技を放映するのではテレビとあまり変わず「芸がない」ということもあって、パソコンならではの付加情報を視聴者が得られる工夫も凝らす予定だ。

・「確実に大きな市場に」

 例えば「五輪選手が履いているシューズが欲しいと思えば、ネットを通じて購入できるようにすることも検討している」(スペンス会長)。もちろん競技スケジュールや選手のプロフィールもインターネットを通じて配信する予定だ。

 さらに、既存のギャンブル会社と提携して、五輪競技を見ながらその場で掛け金を積むことのできるスポーツ・ベッティングの検討も始めている。「アクセスTVでのスポーツ・ベッティングはシドニー大会で実現しないかもしれないが、確実に将来は大きな市場となるだろう」と見込む。

 アクセス・ワンの五輪放送を受信するには、パラポラ・アンテナや特別な受信装置などで約900〜1000豪ドルが必要となる。基本サービス料(月29〜79豪ドル)を支払えば、五輪番組のほか金融情報、ショッピングチャネルなどの視聴が可能となる。同料金にはインターネットの接続料も含まれる。

・デジタル放送の将来像

 国際オリンピック委員会(IOC)は、五輪放映権を持つ既存のテレビ局への配慮から、五輪競技をインターネット経由でパソコン向けに放送することを禁じている。しかし、アクセス・ワンはインターネットの技術を使うものの、視聴者が限定されることからケーブル放送の一種と見なされ、放送開始が認められたという。

 アクセス・ワンによる放送サービスの説明を聞いていると、シドニー五輪を機に試験放送が始まる日本のデジタル放送の将来像を見るような気がしてくる。

 テレビが番組を見るだけから、双方向の情報がやり取りできる装置となり、スポーツ選手やタレントが身につけている商品をその場で購入することができる――。そんな未来をアクセス・ワンは先取りしているようだ。

(シドニー支局=大石信行)

[7月11日]

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