 | | サッカー解説者・金田喜稔氏 |
サッカー解説者・金田喜稔氏 準決勝のチリ対カメルーン戦の中継を担当したが、チーム全体のバランスや準決勝までの勝ち上がり方をみて、絶対にチリが勝つと思っていた。しかも、カメルーンは準々決勝のブラジル戦で守備の中心であるヌギンバトとMFジェレミ(レアル・マドリード=スペイン)が退場処分になったため出場できない。欧州のクラブで活躍するクラスの選手ではDFウォメ(ボローニャ=イタリア)とFWエムボマ(パルマ=イタリア)がいるぐらいで、控え選手を入れてチリ戦に臨んだ。一方のチリはベストメンバー。準々決勝ではナイジェリアに勝ち、その前の予選リーグでは優勝候補のスペインを下しており、チリ勝利は確実と思われた。
試合ではカメルーンがブラジル戦と同じようにオフサイドトラップをかけまくる作戦できたが、チリはそれをかいくぐって何度もゴール前にチリ選手だけという状況を作った。しかし、チリはゴールを決められない。だんだんいやなムードになってきたころ、チリFWゴンサレス(コロコロ=チリ)のシュートがゴールポストに当たってはねかえったところでカメルーンDFに当たり、オウンゴールで先制。残り15分となって、このままチリが勝つのかな、と思った。
チリはメンバーがフル代表と近く、安定したチームだった。1点をとったらそのまま守れるはずだが、ここから追い詰められたカメルーンが反撃する。まずコーナーキック後のゴール前の混戦からエムボマが決める。さらに、エムボマがチリ選手を1人かわしてゴールに向かったときにチリのDFコントレラス(モナコ=フランス)に倒され、PKを奪った。ビデオを見たら、厳密にいえばエムボマのシミュレーション(PKを狙って故意に倒れる反則行為で、ダイビングともいう)だったのだが、もはやスタジアムの雰囲気はカメルーンのものだった。ブラジル戦でVゴール勝ちしたときと同じ状態となり、審判もその雰囲気に飲み込まれて笛を吹かされたような印象だ。追い詰められたところから最後の力をふりしぼるカメルーンの底力は、説明し難いものがある。
カメルーンの勝因の一つは、2選手の出場停止でスイーパーやストッパーといった守備陣を変えてきたが、これがうまくはまりチリのFWに仕事をさせなかった。相手選手に近いところできっちり守ることができる運動能力を持ち合せているので、だれがDFに入ってもそういう仕事ができるのが強みだ。また、欧州クラブでもまれた選手が要所要所にいるのも重要だ。試合の流れの中で、守備陣形などシステムを柔軟に変更できる能力を持っている。そういう観点から見ると、今回出場したアフリカ勢のナイジェリア、モロッコと比べてカメルーンが一番洗練されていた。
もう一方のスペイン対米国の試合は、スペインのFWホセ・マリ(ACミラン=イタリア)次第の試合だったといえる。組織的なサッカーを展開するスペインだが、攻撃の起点はホセ・マリだ。要所要所でボールをキープできるホセ・マリが米国戦でも効いていたようだ。 |