 | | 日本体育大学助教授、ロサンゼルス五輪金メダリスト・具志堅幸司氏 |
具志堅幸司・日本体育大学助教授・ロサンゼルス五輪金メダリスト 24日の男子種目別決勝は床、あん馬、つり輪が行われたが、金メダルを獲得した選手を見ると「この種目ではメダルを逃したくない」という意地のようなものを感じる。種目へのこだわりが練習の手法をも変えさせるのかもしれない。
つり輪に出場した岩井則賢(大和銀行)は着地が動いたことと力技の表現が、1位になったチョラニー(ハンガリー)と異なる。決め、の見せ方が違っている。つり輪は岩井の得意な種目であり「よく(決勝まで)たどり着いた」という評価で良いと思う。上位に入るためには着地を決めること。また同じ力技でも首を上げてみるだけでも違ってくる。決め方の工夫が必要だ。練習の段階から表彰台に上がることを想定し、そして1番になりたいと強く思っているのか。金メダルを取った選手は優勝を目標にしてそこから考えていくような気がする。自分の演技のことだけではなく、練習では何が大事なことか見極める必要がある。緊張する競技本番の中でも練習でも、この点を意識して取り組むだけで違ってくる。本番を想定した日々の練習を続けて欲しい。「練習はうそをつかない」ということだ。
床は演技構成も工夫されていた。金メダルのビフロフ(ラトビア)は普通なら3回を、4回も続けた宙返りで始め、着地でE難易度の技を決めた。強さを感じる。ネモフ(ロシア)は不利になりやすい1番最初の演技だったが、今回の出来なら、順番が遅かったとしてもビフロフの方が上回っている。着地も動いてしまった。優勝候補だったドラグレスク(ルーマニア)は着地が勝負だったし、高さも求められた。
あん馬で金メダルになったウルジカ(ルーマニア)は旋回スピードに勢いがあり、断トツだ。申し分がない。開脚旋回などでは会場から拍手が起こるほどで、迫力がある。選手の実力はすでにルールを超えている。つまり、実力は横一線でほとんど変わらない。後は審判の好みで順位が決まるということだ。「この演技のここが好き」「この旋回のここがいい」といったことで差が付いてくる。迫力あるあん馬、というのも力強さの表現がうまいと言える。
金メダルを獲得する選手は「自分のこだわり」を持っている。着地を決める練習ではソフトマットを使うか使わないかで変わる。またこれは専門家の間では「心理的負荷」と呼んでいるのだが、試合のことを考えながら練習する方法もある。こういうことをこなしてメダリストは五輪に臨んでいるような気がする。
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