 | | 日本水泳連盟競泳委員、武蔵野音楽大学講師・野口智博氏 |
野口智博・日本水泳連盟競泳委員・武蔵野音楽大学講師 女子50メートル自由形で準決勝進出を決めた源純夏(中大)はスケジュールがきつい中頑張った。前日は日本チームのミーティングがあり、深夜に就寝したという。それで朝起きてレースに臨んだので体調はきついのではないか。それでも思い通りのレースを展開しているので、決勝に向けて自らが持つ日本記録25秒29を上回る成績で残って欲しい。
日本チームとして出る女子4×100メートルメドレーリレーにも出ているので、スタミナの面で少し考えてしまうかも知れないが、明日半日休めるし他の選手も疲労は隠せない状況なので、有利であることを生かして欲しい。源は100メートル自由形に出るまで競技に出ていないので体力は消耗していない。22日の50メートル自由形では、見ていて心配したひざの痛みを感じなかった。恐らく本人はひざよりも腕を早くかき回すことに意識を持っていっているのだろう。この種目でも是非日本史上初の決勝進出者になってほしい。
男子1500メートル自由形に出場した平野雅人(ミキハウス)、荒瀬世太(筑波大)は予選落ちだが頑張った。出来れば平野は15分を一ケタの秒数でゴールして欲しかった。ペースが落ちたのは900メートル以降。これはシドニー五輪の会場になっているプールの構造にも原因がありそうだ。スタートから50メートルのターンをする方に向かって浅くなっているので、泳ぐ選手から見れば速く感じる。逆にスタート地点に戻る時は深くなっていくので遅く感じる。ペースがつかみにくいので、エネルギーを使ってしまう。実際平野も荒瀬も「往路」のタイムの方が良い。平野はオーストラリア留学でこのプールにも慣れていたはずだがそれでもこういうことが起こる。彼自身の泳ぎにミスはなかったと思う。
荒瀬本人は今回の結果に不満そうだが現状の力は出してきた。午前の予選は体がきついが、よく自己ベストを記録した。練習を積んで体が出来てきた証拠と言える。この種目では上位のパーキンス(オーストラリア)、ハケット(同)にも狂いがあるが、日本選手とは持っている力に違いがある。平野は今後選手生活を続けるかどうかは分からないが、日本記録を更新したことは評価したい。若い世代の選手がこの平野の記録を目標に、そして早く塗り替えることを期待している。
女子4×100メドレーリレーは日本記録を出したが、今回は背泳で中村真衣(中大)と田中雅美(同)が時間を稼いだ。田中も睡眠不足の中、コンディションが悪くても頑張った。決勝は4分04秒を切るくらいまでいって欲しい。オーストラリアは特にバタフライが強く、決勝では4分03秒は狙ってくるだろう。米国は決勝で選手を替えてくる可能性がある。選手の層が厚く、平泳ぎも強い。この平泳ぎに勝負の見どころがあるが、中村にできるだけ離してもらうかが勝負になりそうだ。中村は自分でも言っているが体の動きにいつもの軽快さを感じない。ベストよりも0.4秒遅いのは予選大会ゆえなのだろうか。田中はレースつなぎはうまい。後半が落ちているが今大会最後のレースなので持っている力をすべてぶつけてくる気持ちで取り組んで欲しい。
バタフライの大西順子(ミキハウス)はもう少し良い記録を出すかと思った。後半までのスタミナ維持が課題。源は50メートル自由形で決勝に残り、チームを盛り上げて欲しい。レースは練習よりも体力を消耗する。他種目との掛け持ちがスタミナに与える影響を心配している。
特筆したいのはメダル候補のルーマニアがこの種目で最下位、しかも4分23秒56に終わっているという点だ。この種目は決勝で米国がメダルを獲得するのだろう。(シドニーで22日午後、聞き手は遠藤繁)
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