 | | 日本水泳連盟競泳委員、武蔵野音楽大学講師・野口智博氏 |
野口智博・日本水泳連盟競泳委員・武蔵野音楽大学講師 女子100メートル自由形で源純夏は日本人として初めて決勝進出を決めた。決勝に残ることが大事だ。今後リレー種目も控えているので、本人もそれにつながるレースをするべきだと思うし、分かっているようだ。前半早く入れなかったが、自分では頑張っているつもりでも思ったほど早くはないということだろう。ひざが痛そうなのが気になる。合宿からこの様子を見せていたが、長い期間トップレベルにいるのでケガをごまかしながら練習してきたのだろう。20日は2回泳いでおり、午前の予選は無理して消耗しているはず。明日は1回だけ泳げばいいので全力でやってほしい。残ることが難しい世界レベルの中でよく決勝に入った。
・スピード練習不足か
200メートル平泳ぎ準決勝の田中雅美は3番目で決勝になり、25―26秒台の泳ぎを目標にしていたようだがちゃんと理想の泳ぎが出来ている。とにかく世界1位なので堂々としていればいい。泣くほど悔しがることも必要だが、広い視野で泳ぎを考えればよい。少しでも順位を上げることを考えその結果がメダルなら幸運だ。今持っている力を出し切って欲しい。問題は前半が伸び切れていない。前半が伸び切れない選手が少なくないのは練習プログラムに失敗要素があったのかな、とも感じる。レースを総じて見るとスピード自体を高める練習が不足しているのではないか、との印象を持った。磯田順子は1回予選落ちしてからよみがえったので、レースに臨む気持ちの切り替えが難しかったのだろう。心の準備が十分出来ないのだろうがそれでも耐えられる選手にならないといけない。
・見ごたえあった男子100M
200メートルバタフライ決勝の三田真希は前半でスピードにのるべきところでのることができていない。持久力を高める練習で勝負に出た結果なのだろう。100メートルで失敗し決勝に戻ってくるという、この大会での経験で成長したはず。中西悠子は大舞台の経験を次に生かして欲しい。2分7秒台になれば表彰台クラスの選手と勝負できる。三木二郎の200メートル個人メドレーは前半のバタフライ・背泳は自己ベストを上回っていたが世界の舞台で2度泳げたことを本人も満足しているようだ。これは自信につながる。後半が伸びないのは練習量を落とす調整のタイミングが合わなかったような気がする。レベルの高い選手と同じプールで泳いだことで彼らの動作や心理状態など見習い吸収してほしい。
男子100メートル自由形は見ごたえのあるレースだった。気持ちの面で成熟したものがあるのだろう。
メダル候補者が振るわなかった時、どう対応しているか、という点でシドニー五輪は日本選手と対照的だ。オーストラリアのマイケル・クリムは男子100メートル自由形決勝でメダルを逃した後、「ものすごいレースだったが満足している。これ以上のことは出来ない」と語り、自分のやったことを真正面から素直にとらえている。オニールも2位に甘んじたレースでは「2位で満足しなくちゃ」と言っている。日本選手は水泳に対する根本的な考え方から違っている気がする。技術や体力で劣っているわけではない。冷静な判断や速度のコントロールに課題がある。精神的にも人前では決して涙を見せない強さを持つことも大事。人生をかけてきたのは分かるが、その経験は大事にしていけばいい。もっと大きな視野から水泳をとらえて取り組んで欲しい。落ち込んでもいいがそれをいつまでも引きずっていくのはどうかと思う。
・バサロ4回に挑戦
21日は女子800メートル山田沙知子が出るが、そんなに悪い泳ぎをしていない。あまり慌てないことだし、その辺を注目したい。男子100メートルバタフライは後がない山本貴司。調子は悪くないしカナダでは50メートルを24秒1で泳いでいる。さらに瞬発力がついている。女子200メートル背泳には中尾美樹が登場する。合宿中体重が落ちたそうだが瞬発力は落ちていない。スピードを損なわずいい感じで絞れている。厳しい言い方だが同じく出場の萩原智子の不調に惑わされないことだ。萩原はターン後4回のバサロに挑戦する。去年が2回、日本選手権が3回だった。これが出来れば気持ちも吹っ切れる。バサロ4回を出してくるのかが見どころだ。
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