 | | 日本水泳連盟競泳委員、武蔵野音楽大学講師・野口智博氏 |
野口智博・日本水泳連盟競泳委員・武蔵野音楽大学講師 女子200メートルバタフライは中西悠子(近大)が冷静なレース展開で良かった。前半は日本選手権での泳ぎよりも時間を落としていたが、後半良く伸びたと思う。19日夜の準決勝はこの調子を維持すればもう少し伸びそうだし、自己ベストの2分10秒16よりも良い記録を出しそうだ。2分10秒を切る記録が出れば決勝に残るかもしれない。この10秒台を切る、という意味は精神的に大きい。10秒00ではなく9秒99に載せた方が気持ちは乗ってくる。
三田真希(須磨学園高)は明るい展望の持てるレースをしてくれた。前半から積極的に出て、隣を泳ぐ地元オーストラリアの世界記録保持者オニールに食らいついていったのは、ねばり強さが出ている表れ。100メートルバタフライの不振を引きずっていたら100メートルのターンのところであきらめていただろう。落ち込んだレースの次には復活する、という面で先進的成長を感じる。まずは2人で決勝に残りもう一度、日本チームを盛り上げる起爆剤になって欲しい。
準決勝のみどころはオニールの動きだ。200メートル自由形決勝など他に出場する種目があるので予選は体力を温存した泳ぎだった。オニールと中西、三田は同じく見で泳ぐが、この組はオニールの泳ぎ次第で次の組よりもタイムが遅くなる可能性がある。日本の2人はオニールに次いでゴールしなければならない。オニールが出てこないなら自分がレースを仕掛けて出るつもりでないといけない。こういう戦術はまだ2人は慣れているとは言い難い。ハイマン(米国)は予選で自己ベストをかなり縮めてきた。準決勝で全力で泳ぎ切るか読みにくいが、先攻型なので流すなら後半になるだろう。
200メートル平泳ぎで北島康介(本郷高)が予選落ちしたのは油断したか、という感じだ。25メートル過ぎからペースをやや落とし、ぎくしゃくしたレースという印象だ。前半前に出て後半ペースを落とす作戦なのか、100メートルターン後に追い上げていくのか、というところでレース前から迷っていたのが表れた。北島自身は余裕があったと語っているようで、不完全燃焼の感は否めない。予選の泳ぎ方は日本選手権など大会で学んでいくほかない。北島は100メートル中心の練習だったせいで、200メートルの泳ぎをイメージできていないのだろう。
一方、予選通過の林亨(中京大大学院)は調子はいいが動きは軽すぎる。体力がついてきたせいでストロークに力が入りすぎているので空回りしている感じがする。100メートルでの失敗を繰り返さず自分のレースを作ったことが良かった。前へ出てレースをすれば決勝進出は可能だ。他の選手の調子がいいのでメダル獲得は難しい。フィオラバンディ(イタリア)が強いので林は意識しすぎると失敗しかねない。予選1位通過のルモラ(イタリア)もいい。
19日夜は男子100メートル自由形が楽しみ。ポポフ(ロシア)は準決勝で48秒台を狙ってくるだろう。この中で米国は全米選手権の影響が残り元気がない。ヴァンデンホーヘンバント(オランダ)が絶好調だ。男子200メートル個人メドレー決勝はオーストラリアがイアン・ソープを第一泳者に持ってくれば世界記録を狙っていることの証拠。イアン自身とチーム全体の2つで狙うことだろう。オランダも強い。第一泳者にヴァンデンホーヘンバンドを持ってくれば再び両者の対決が見られる。この種目は米国が強かったが、シドニー五輪で珍しく表彰台に上れないかもしれない。強い選手が出ていないことに原因がある。(シドニーで19日昼、聞き手は遠藤繁)
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