 | | サッカー解説者・金田喜稔氏 |
サッカー解説者・金田喜稔氏 日本と20日に対戦するブラジルの試合を初戦の対スロバキア、2戦目の対南アフリカと続けて見た。このほか練習試合なども観戦したが、ブラジルはチームとしての攻守のバランスは非常に良いという印象だ。しかし、17日の南アフリカ戦では身体能力の高い南アフリカを相手に攻め切れず、後半にリードされてあきらめてしまった感がある。フル代表に比べてチームとしても個人としても出来の善し悪しが極端で、精神面でのもろさが見受けられた。
ブラジルはMFのアレックスとエドゥー、FWのロナウジーニョとジオバンニという4人の攻撃的選手がひんぱんにポジションを変えて攻めてくる。一見すると好き勝手にポジションを変えているように見えるが、たとえば中盤右サイドのエドゥーが前線に行けばジオバンニが彼のポジションに下がる、司令塔のアレックスが前線に上がればロナウジーニョが下がる、というようにチームとしての規則性を持っているようだ。この4人とボランチのマルコスパウロ、ファビアーノとが流動的に動き、攻撃のためのスペースを作っている。
しかし17日の試合では南アフリカがその身体能力を生かして、ブラジルの攻撃をしのいだ。ブラジルの攻撃的選手と南アフリカの守備陣が1人対1人の状況になっても、南アフリカは何とかがんばって守ることができていた。このため、ブラジルは攻め切ることができなかった。
ブラジルは前半に先制されてすぐ追いついたが、後半に南アフリカのFWノムベテに勝ち越し点を許してからはみんな動きがなくなってしまった。特に、後半の25分間ほどは選手たちが下を向いてしまっているような状態だった。攻め崩せないとすぐあきらめてしまうような精神面のもろさが垣間見えた。
また、この試合では攻撃の際のバランスが崩れることがあった。1人の選手が動いてできたスペースを、他の選手が埋めるのに時間がかかることが多かった。特に、中盤右サイドのエドゥーが前線に上がったり中央に入り込んだとき、そのような状態が顕著に見られた。次に対戦する日本にとって、日本側から見て中盤左にできるこのスペースは狙い目となるだろう。
今回の23歳以下の選手たちはいずれフル代表になる選手たちだと思うが、やはり現段階でのこの年代はフル代表とは違うと感じた。チームとしても選手個人としても、出来の善し悪しが極端だ。ゴールドコーストから試合会場まで、バスで3時間かけて通っているので疲れもあるかもしれない。
しかし、ブラジルとしても次の日本戦は勝つしかないので、必死でくるだろう。ルシェンブルゴ監督は一部の選手を入れ替えるような刺激策を取るのではないだろうか。死にもの狂いになったブラジルと対戦するというのは、日本代表史上初めてではないだろうか。20日の試合は、日本がやってきたことが真の意味で試される、最高の舞台となるはずだ。(聞き手はマルチメディア編成部 斉藤直宏) |