 | | 日本水泳連盟競泳委員、武蔵野音楽大学講師・野口智博氏 |
野口智博・日本水泳連盟競泳委員・武蔵野音楽大学講師 17日午前(日本時間同)の予選は女子背泳100メートルの中村真衣(中央大)がよく動けていたと思う。朝のレースで前半からスピードが出ていたので、あの様子であれば午後のレースの記録も期待できる。今日の結果は上出来だ。恐らく今晩の準決勝で日本記録を目指し、決勝で世界記録更新を狙ってくるだろう。しかもこの種目での有力選手の成績があまり良くない。中村には金メダル獲得のチャンスがある。ルーマニアの新鋭の選手が出てきたが、彼女は勢いがあるので注意が必要だ。中村の場合、決勝では50メートルの段階でほかの泳者が戦意を喪失するほど引き離して泳げば金メダルは獲得できるだろう。
中村は表情も明るく、コンディションが良いという証拠だと思う。8月末の札幌ではかなり追い込んだ練習をこなしていたせいか、やはり神経質になる面があった。疲労が蓄積すると思うように体が動かないし、自分の泳ぎの感覚とタイムが合わなくなる状態が出てくる。中村はスタート時などでバサロ泳法で泳ぐので腰の痛みも持っているはずだ。17日もこの痛みを感じているかも知れないが、表情が明るいので心配ない気がする。同じく準決勝進出を決めた稲田法子(早大)は元気がない。もう少し調子はいいものだと思っていたが、恐らく8月の練習の疲れが抜け切れていないのかもしれない。
女子平泳ぎ100メートルの田中雅美(中央大)も17日の泳ぎをみる限り良くない。練習ではコーチと話す場面が多く、心配していることがあるということなのだと思う。コンディションは悪くないので、調整に失敗しているわけではない。五輪も2度目だし、このシドニーのプールも初めてではない。ストロークを意識した良い泳法を見せたが、筋力が低下している可能性がある。予選ではスタートでも飛び出せていなかったので後半でも伸びなかった。早い改善が必要だ。まず決勝に残るレースをして欲しいし、積極的に進める気持ちになるようになってもらいたいと思う。メダル候補のヘインズ(南アフリカ)は動きが良く、準決勝や決勝で世界記録を狙ってくる気がする。
女子自由形400メートルは田島寧子(日体大)の疲れが出ていたと思う。各局のスタジオを回って取材を受けたようだが、柔道と違って競泳は次のレースを控えている選手が多いので、日本オリンピック委員会(JOC)が選手を守る必要がある。田島は表情には出さないが取材に応じたことを悔やんでいるのではないか。今回の不振な結果はその影響だろう。山田沙知子(須磨学園高)は世界ランキング1位の選手が隣で泳いでいたが、彼女が流して泳いだせいでほかの泳者も出ようにも出られない状況だった。その後、ほかの選手はどんどん飛ばしてきたが山田の場合スプリント力で差が出てしまった。
逆に谷口晋矢(中央大)は男子400メートル個人メドレー予選で速いペースにのまれず、バタフライや背泳では自分のペースを守って得意な平泳ぎ、自由形で引っ張っていった。田渕晋(早大)は谷口に触発されてバタフライの段階で力んでいた。それで平泳ぎでペースダウンにつながってしまったがこういう舞台で経験を積んでいくことが大きな意味を持つ。
今晩のレースは北島康介(本郷高校)の100メートル平泳ぎ決勝が見所だ。北島は水の抵抗を受けにくくする泳法を身につけているし、足のキック力も強い。上半身もたくましくなっているので、後は日本選手権で見せたようなスタートを切ればメダルも見える位置に立てる。得意な飛び出し方が出来れば有利だ。彼は他国の選手から見れば新鋭として、情報もなく怖がられる存在だと思う。前半で飛ばしても後半に疲れない練習を積んでいるはずだ。17日は前日と違い、日本チームが沈滞ムードになっている。ぜひ雰囲気を盛り上げて欲しい。
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