 | | 全日本柔道連盟強化副委員長・上村春樹氏 |
上村春樹・全日本柔道連盟強化副委員長 16日は男女両方が金メダルを獲得でき、最高のスタートを切れた。48キロ級の田村亮子選手の勝利は経験と集中力で取った金メダルだ。60キロ級の野村忠宏選手は1回目の試合で下手をすれば1本を取られたかとひやりとさせられたが安定したたくましさを感じる内容だった。初日で2つの金メダルは柔道でも今までの五輪でなかったこと。これで日本勢の弾みもつくことになるだろう。審判は各国に金メダルをばらまきたい、と考える傾向もあるのでこれで日本勢に対するマークもきつくなる可能性がある。ただそれ以上に田村選手と野村選手の活躍は今後のために良い影響を及ぼす。
田村選手は最初の試合前、ものすごく緊張していた。柔道の会場入りする前はそれほどでもなかったが、その後が硬かった。恐らく日本国民が1番気にしていたのは田村選手の金メダル獲得だったと思うし、本人も「最高で金メダル、最低でも金メダル」と話し自分を課していた。その点でかなりの精神的重圧があったはずだ。
初戦はもたついた動きを見せこれは田村選手らしくない試合になってしまった。ただ経験の差がある。取るべきポイントを取って、勝つべきところで勝った。必ずしも調子がいいとは言えない内容だったが、精神力で勝った試合だった。その次の試合で見せた1本勝ちで田村選手には勢いがついたように思う。この後、決勝までには時間が空いたこともある。上り調子の中での休憩になったことも意味がある。苦戦した後の休憩はすべてが重荷になりかねない。
田村選手の対戦相手はすべて左の選手で、なおかつ持たせない、組まさせないという作戦で研究してきていた。相手の中には頭を下げて田村選手の攻めを制する動きをした人もいた。世界選手権なら緊張もしないのだろうが、そこは五輪。特に2度も金メダル獲得を逃しているので、これを逃したら次がないという思いからの緊張感だったと見ている。準決勝は自分の思い描いた試合展開になったのだと思う。
決勝の田村選手は集中力が違っていたしさすがだった。予想された対戦相手サボン(キューバ)を破ってきたロシアの新鋭だったが集中力と試合をずっと積み上げてきた成果で、そういう選手しかつかめないチャンスをものにしたと言える。ただ今回の田村選手については内容をとやかく言うのではなく、金メダルを取ったという現実をほめたい。
野村選手の場合、初戦以外は確実に自分の技を出して勝ってきた。五輪2大会制覇は史上4人目だが軽量級では初めてで見事というよりほかはない。減量を求められ日ごろの節制が欠かせない。アトランタ五輪は無我夢中の結果が金メダルだったが、今回は確実に自分で目標を見据えた上での金メダル。内容はパーフェクトだった。事実上の決勝戦は準決勝だったが野村の防御が優れており相手に有利なポイントを稼がせることを防いでいた。
17日は女子52キロ級に楢崎教子選手、男子66キロ級に中村行成選手が出場する。楢崎選手は金メダルに近く安定感があるので注目している。中村選手は前回(96年のアトランタ五輪)は銀メダルだったが、技の切れこそ残っていてもあの当時の勢いはない。自分の技をきちんと自分で出せるかどうかが問題になる。
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