 | | 「野口智博・日本水泳連盟競泳委員、武蔵野音楽大学講師」 |
野口智博・日本水泳連盟競泳委員・武蔵野音楽大学講師 女子400メートル個人メドレーの田島寧子(日体大)はウォームアップを見た時に硬いと感じた。日本選手の一番始めに出場するせいで普段と違う様子だった。コーチの話でも緊張しているとのことだったし、その点で前半の動きが良くなかった。田島は元々予選が得意ではない。それがバタフライや背泳に表れたようだ。後半はリードしていたので流すと思ったが恐らく余力があるのかも知れない。
クロチコワも自己ベストを出し強いレースを仕掛けてきている。決勝はクロチコワを視界に入れ金メダルを狙うレースをするか、2位争いを制するレースにするのかどちらかだろう。クロチコワに田島がついていけば「オール・オア・ナッシング」になりかねない。ただコーチや田島の性格を考えると勝負に出てくるような気がする。
2位での予選突破は追いかける立場なので良いことだ。予選はまず決勝に残ることが大事。平泳ぎを意識して練習していたようで、個人メドレーの中と単独種目での泳ぎで腕の使い方に注意を払っていたようだ。ターンでは欧州の選手に細かいテクニックがある。平泳ぎやバタフライで手を付いた後、足をつけるまでのスピードは記録で差をつけるのに影響が出る。
平野雅人(日大)は2、3日前の様子ではでき上がっていない感じだった。責任感が強いので田島の勢いに乗った格好だし、日本記録更新は満点の出来栄えだ。今回のレースで速いペースにもついていける体ができあがっていることを示した。1500メートル自由形に照準を合わせているようだし、面白い展開になりそうだ。次まで6日間空いているがこの期間の調整をどう進めるかにかかっている。
大西順子(ミキハウス)は最初表情が硬かった。横にジェニー・トンプソンがいたが、米国経験もあるので離されることなくしっかりついていった。三田真希(須磨学園高)は落ち着いた様子だったが、この舞台にのまれてしまったのかもしれない。体に大きな故障があったとは聞いていない。200メートルのバタフライは今回の結果を引きずることなく、早めに転換することが大事だ。
100メートル平泳ぎの北島康介(本郷高)は落ち着いた展開だった。予選・準決勝・決勝と3回泳ぐことも想定しているのかもしれない。前半を力まず、28秒5前後で入れるかどうか注目したい。林亨(中京大)は不運だった面もある。ロシアの選手に付いていく泳ぎを想定していたが、この選手がスタートに出遅れたため戸惑ったと思う。最後の15メートルも空回りしているように見えた。200メートルで立ち直れなかったらトレーニングやコンディション上の問題があるのだろうが、本人はさばさばしているようだし期待できる。
88年のソウル五輪で金メダルを獲得した鈴木大地は200メートル背泳で理想の泳ぎが出来ず、その原因がウオームアップにあったことが分かっていた。そこでその問題を改善して100メートルで金メダルを獲得したが、結果が不本意に終わった選手は原因をつかんで、次の試合へのモチベーション作りをする必要がある。この五輪で頑張ることにより、自分は何を得るのかといったことを考えると良い。
オーストラリアのイアン・ソープはこのまま決勝までいくだろう。決勝は全身を覆う水着で登場すると思うが、こういうことで気持ちを切り替え戦闘意識を高めているのではないか。これも1つの作戦だ。 |