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女子躍進、日本底上げ・男子は柔道以外厳しく
 シドニー五輪で日本のメダルは金5、銀8、銅5の計18個だった。前回のアトランタ五輪(金3、銀6、銅5)から前進し、八木祐四郎・選手団長(日本オリンピック委員会=JOC=会長)は「80点。(金メダルを)三つくらい取りこぼしたのが残念だが」と評価した。企業チームが相次いで撤退、北風が吹いている日本のスポーツ界。しかし、前回アトランタの7個から13個へメダルをほぼ倍増した女子選手の活躍に支えられ、日本の競技力は長期低落傾向に歯止めがかかった形となった。

 女子マラソンの高橋尚子(積水化学)は、お家芸の柔道以外で唯一となる金メダルに輝いた。小出義雄監督と支えあい、励ましあい、駆け抜けた師弟の物語。五輪のメーン競技ともいえる陸上では女子で史上初、男子を通じても64年ぶりの五輪制覇となった。日本中から金メダルを期待されるプレッシャーにさらされながら、自分でレースを組み立てての完勝は、日本の五輪史に残る偉業といえるだろう。

 競泳は女子が銀2、銅2。男子は三大会連続でメダルがなかった。アトランタでメダルを取れなかった少女選手たちが、4年後に大人になって立派に精神的成長の跡を示した。

 史上最強といわれる充実した陣容だっただけに、金メダルに届かなかった悔しさは残る。400メートル個人メドレーの田島寧子(日体大)は「健闘」の銀、100メートル背泳ぎの中村真衣(中大)は「惜敗」の銀。満足と未練が相半ばした。

 このほかにも、2種目で銀の花を咲かせたシンクロナイズドスイミング、惜しくも金を逃したソフトボール――。日本は初めてメダル総数で女子が男子を上回った。男子の柔道以外のメダルはレスリングの銀1しかない。

 八木団長が「取りこぼし」と表現した代表例は、男子柔道100キロ超級の篠原信一(旭化成)か。不可解な判定で銀メダルに終わったが、柔道の四つの金メダルは大会前の目算と大きな狂いはない。井上康生(東海大)のオール一本勝ちも痛快だった。

 振るわなかったのは団体球技だ。野球、サッカーでメダルに届かなかった。ここでも女子のソフトボールがあと一歩で金メダルに迫るところまで健闘した。プロ化と地道なジュニア層育成に力を入れたサッカーは世界との距離を順調に縮めているが、プロアマ混成チームで臨んだ野球は4位に終わった。

 野球に限らず、強国がプロを投入し始めた競技の場合、社会人や実業団というくくり方で世界と対じするのは難しい。市原則之・JOC理事は「環境を整えないと勝てない。日本も進歩しているが、世界の進歩はさらに急速だ」と話す。

 名門・日立の良質な選手の結束を、そのまま全日本に持ち込んで成果を上げたソフトボールは、希少な例。メダルどころか、団体球技では五輪の舞台に立てたのが野球と男子サッカーとソフトだけという現実に、正面から向き合う時期に来ている。(阿刀田寛)

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