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円滑な観客輸送、警備との両立なお不安・祭典の素顔、直前報告(3)
市街地と五輪公園を結ぶ鉄道は観客輸送の要になる(五輪公園駅)=写真 剣持常幸
 「こんな輸送システムではやってられない」――。今月7日に開かれたシドニー五輪組織委員会の会議で、オーストラリア・オリンピック委員会のジョン・コーツ会長は、強い調子で輸送問題の改善を訴えた。組織委は15日の開幕まで1週間余りとなった同日、州政府の職員20人をバス運行管理事務所に応援に出す緊急対策を決めた。

 同会長がいらだっているのは、五輪選手にまで輸送の乱れの影響が出ているためだ。シドニー西郊外の五輪公園や選手村などには厳しい交通規制が敷かれ、移動は組織委が用意するバスが頼り。ところが、先週も練習に向かうオーストラリア選手団の射撃チームが2時間もバスを待たされたという。

 組織委は五輪期間中に最大でバス3800台、運転手5000人が必要になると試算。シドニーの道路事情に疎い運転手まで急いでかき集めたことが、輸送の混乱に拍車をかけたとみられている。シドニー南郊外でのバス運転歴が20年という女性運転手は「まだ道に慣れていないし、市街は一方通行が多いから大変よ」と道路地図に目を凝らす。

 五輪期間中の人出は延べ800万人超。メーンスタジアムのほか陸上、水泳、体操、野球など競技会場が集中する五輪公園へは1日最大50万人が繰り出す。信号無視や脱線、強風によるパンタグラフ故障などトラブルが相次いだ公共鉄道「シティーレール」にも大きなプレッシャーがかかる。市中心部のセントラル駅から五輪公園駅へはピーク時で5分おきに直通列車が運行する。

 メーンスタジアムに約10万人の観衆を集めて実施された9日の開会式リハーサルは、輸送機関の「究極のテスト」として注目されたが、大きな混乱もなく終了。翌朝の地元紙には「観客輸送は合格点」といった好意的な見出しが並んだ。

 ただ、リハーサル当日は混雑を和らげるためか、金属探知ゲートでブザーが鳴った報道関係者をそのまま通過させるなど、セキュリティーチェックはかなり緩かったようだ。リハーサルを見に来た消防士のティム・ワイナライトさん(21)は「金属探知ゲートのスイッチが入っていない所さえあった。これでは爆弾を持ち込まれても不思議じゃない」と不安を口にした。

 最大の難関とみられているのは陸上競技の初日となる22日。五輪公園駅も含め、シティーレールの利用客は開会式当日を約4割上回る延べ210万人に達する。「究極のテスト」の合否が分かるのは、もう少し先になりそうだ。(中前博之)

[2000年9月12日/日本経済新聞 朝刊]

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