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伊東浩司(陸上短距離)、アジア最速集大成期す・スタンバイOK、日本のエース
故障に苦しんだものの「五輪には間に合う」手ごたえを感じてきた伊東(8月、英国での200メートルのレース)〔著作権:AP.2000〕
 男子100メートル10秒00、200メートル20秒16の日本、アジア記録を持つ伊東浩司(富士通)にとって五輪は、個人のプライドだけをかけた戦いではない。「マラソンに比べて注目度が低い日本の短距離が、社会にアピールできる舞台」

 企業の支援が手厚く、どっさりと大きな荷物を運び込んで海外合宿を重ねるマラソン選手の姿と対照的に、自分はスパイクと着替えだけをバッグに詰めて、今日明日の宿も定まらぬまま欧州、米国を転戦する。そんな境遇から反骨のエネルギーをたぎらせてきた。

 バルセロナは1600メートルリレー要員に選ばれたが補欠に回り、トラックに立てなかった。アトランタは200メートルで準決勝進出、1600メートルリレーでは5位入賞。「アトランタは出るだけでよくて、レースのたびに『残った』『残った』という感じ。シドニーは戦う」

 30歳、アジア最速の男として集大成の走りを世界にアピールしたいのだが、状況は厳しい。昨年の日本選手権直前に痛めた腰の不安が、今年になって2月、4月の左太もも裏の故障となって表れた。「直線でスピードを上げようとすると、左足がロックして動かない」。故障再発の恐怖心で硬直する筋肉を動かすのに予想外の時間がかかった。

 春の国内サーキットは全休して6月11日の全日本実業団が初戦、8月に欧州の試合に出かけたが、今季自己ベストはまだ100メートル10秒27、200メートル20秒90にとどまっている。

伊東浩司の出場予定種目日程
22日(金)男子100メートル1次予選
  〃 2次予選
23日(土) 〃 準決勝
  〃 決 勝
27日(水)200メートル1次予選
  〃 2次予選
28日(木) 〃 準決勝
  〃 決 勝
29日(金)400メートルリレー予 選
  〃 準決勝
30日(土) 〃 決 勝
 8月24日に終わった北海道・士別での日本代表合宿のあと、川畑伸吾(法大)が日本学生対校で100メートル10秒11、大学の後輩でかわいがっている末続慎吾(東海大)が10秒19の好記録をマーク。沖縄で個人合宿を続けながら、若い選手に背中をドーンと押された伊東は刺激されたはずだ。

 男子短距離チームの高野進コーチは「五輪の一発だけに合わせてくれればいい」とベテランの調整能力に絶対の信頼を置く。「伊東、朝原(宣治=大阪ガス)の2人に僕はかけている」。実績、経験のいずれをとっても世界と戦える日本人スプリンターは伊東、そして朝原しかいない。

 「五輪には間に合う」。士別合宿後に手ごたえを強調した伊東が、五輪モードの走りを披露するのは9日のスーパー陸上(横浜)となる。(串田孝義)

[2000年9月5日/日本経済新聞 朝刊]

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