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塚原直也(体操)基本重視「完ぺき」狙う・スタンバイOK、日本のエース
日本代表の壮行演技会で平行棒を披露する塚原(7月)
 シドニー五輪開幕まであと2週間と迫った。実力者にとって、泣くも笑うもここ次第という最終調整の段階だ。活躍が期待される日本のエースたちの表情を追う。

 シドニー五輪組織委が発刊する公式観戦プログラムは、体操のページで塚原を取り上げた。写真は鉄棒の離れ技「コールマン」の演技。父・光男氏、ロシア人コーチのアンドリアノフ氏と、2人の金メダリストの指導を受ける塚原ジュニアを“当局”が個人総合優勝候補の1人と認定している。

 塚原は所属する東京・久我山の朝日生命体育館で日本代表の最終合宿に入っている。これまで5度の合宿では五輪会場と同じ豪州製器材を使い、しなりの違う鉄棒、スプリング式でよくはねる床に慣れてきた。

 今年の夏は暑い。冷房のない体育館もあって体調維持には苦労した。メキシコ五輪女子代表だった母の千恵子さんも「本番へ向けて慎重に体調を仕上げていくだけ。シドニーへ行くと急に寒くなるから風邪には注意」と気遣う。

 課題だった平行棒の「モリスエ」(棒上での後方2回宙返り腕支持)の抱え込みから屈伸への転換、床運動の入りの部分での伸身新月面宙返りの熟度は高まっている。だが、五輪でやるかどうかについては慎重な姿勢を貫く。「完ぺきでないと試合で演技する意味がない。練習でできないことは試合ではできない」

塚原が出場する試合予定
16日(土) 男子団体予選
18日(月) 同団体決勝
20日(水) 同個人総合決勝
24日(日) 同種目別決勝
25日(月) 同 上
 このヤマっ気のなさが塚原の最大の武器ともいえる。五輪ともなれば、一世一代の大技をと入れ込むものだが、塚原は違う。勝負どころはあくまで確実な着地、基本に忠実な動きが作る美しい体の線だ。同じ技でも他より高得点が得られる秘密がそこにある。

 アトランタ五輪後に改定された採点規則では、どんな大技に挑んでも細かなミスがあれば命取りになる。確実性を重視する世界の潮流にうまく乗った。

 ただ、塚原の演技がやさしいかといえば違う。「いまの体操は人間の限界に近いところでやっている。直也は私をとっくに超えた」。派手さはないが、恬淡(てんたん)とした演技に徹することができる。その心身両面に光男氏も脱帽する。

 野球でいえば、一見楽々と難ゴロをさばく名遊撃手といったところ。まず迎える団体戦、細かいエラーが続発したとき、広い“守備範囲”でチームを救うだろう。(串田孝義)

[2000年9月1日/日本経済新聞 朝刊]

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