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「金」メダルの価値、各国に差・変わる五輪野球(上)
 プロの参加が目玉となるはずだったシドニー五輪の野球は米・メジャーや日本のセ・リーグが腰を引き、最高の舞台とはいえなくなった。しかし、木製バットによる戦術の変質、豪州の台頭などにより世界の野球地図が塗り替わる要素は十分。節目を迎えた五輪野球の見どころを探った。

 これだけ国によって重みの違うメダルも珍しい。「最高のアスリートを五輪に」という国際オリンピック委員会・サマランチ会長の路線に乗った国と一線を画した国。くっきり分かれて「金」の値打ちの国際格差が浮き彫りになった。

 一番高く値踏みするのが開催国豪州。「五輪を通じ、マイナー競技の野球をメジャーにする」(ピーター・マリオット・クインズランド州野球連盟事務局長)と一丸になっている。

 ディンゴは、大リーグで手にしていた年俸のほぼ半減という条件をのんでまで、五輪出場を許す中日に入った。

 日本での成績はさっぱり。しかし昨年のインターコンチ杯では優勝した豪州の打線の核としてMVPとなった。国のユニホームをまとえばしゃきっとして、五輪では思わぬ大活躍をするかもしれない。

 このほか、大リーグ経験者5選手が9月2日に帰国し備える。野球新興国の印象だが、オール豪州は相当のチームになる。

 3連覇を狙うキューバにとっても野球王国の威信がかかっており、メダルの価値は大だ。日本を前線基地に1カ月の合宿を張る。韓国も代表24人のうちアマは1人だけ。ペナントレースを中断し、昨季韓国記録の54本塁打を放った李承 (三星)らオールスター軍団を送り込む。

 これに対し、米国は五輪無視を貫き、全員がマイナーリーグ。一時名の挙がったハーシュハイザー投手らOBの派遣すらなかった。大リーガーにとって、どんなメダルもワールドシリーズの記念リング以上の重みはない。出ないという決断自体、はっきりした価値判断にもとづいている。

 問題は日本だ。隣国の力の入れようを見ればメダルも欲しいようで、野球宗主国・米国の冷淡さを眺めればありがたみがないようで……。その辺ですでに主体性がなく、中途半端なチーム作りをした。

 ひずみは準備期間の短さなどに出てくる。プロの現地合流は開幕当日の15日。大田垣耕造監督は「準備不足? それは最初からわかっていた」と淡々と受け止めるが、これではプロが行っても力の半分も出ないということになる。

 歴史的惨敗という劇薬でもないと、日本の日和見主義は直らないのか。(岩本一典)

[2000年8月26日/日本経済新聞 朝刊]

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