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混成チーム、プロ起用法課題山積・変わる五輪野球(下)
杉浦(右)から連係プレーの話を聞く松坂(中)と黒木
 曲折はあったが松坂(西武)、中村(近鉄)らを加えた日本は「ミニ・ドリームチーム」といえる陣容になった。しかし、彼らの力を引き出し5大会連続のメダルを獲得するには、幾つものハードルがある。

 予選リーグで5強(キューバ、米国、日本、韓国、豪州)のうち、まず一つがふるい落とされる見込み。最初に黒星が先行したチームを強豪国がよってたかってつぶしにかかってくる展開となるだろう。

 「標的にされないようにするには前半戦がかぎ」(大田垣耕造監督)。しかし、そこを乗り切るための展望はまだ描けていない。投手は松坂と黒木(ロッテ)が先発の柱で抑えに河野(広島)といったおおまかな青写真があるだけだ。

日本の試合日程
<予選リーグ>
9月17日米  国
18日オランダ
19日豪  州
20日イタリア
22日南アフリカ
23日韓  国
24日キューバ
<決勝トーナメント>
9月26日準決勝
予選1位―4位
予選2位―3位
27日決勝、3位決定戦
 「(日本の)チームカラーは現地でつかんでいきたい」(大田垣監督)とは少々頼りない。プロ8選手の合流が初戦の2日前とあっては、もはや開き直って構えるしかないのか。

 特に打者には厳しい条件が重なる。国際野球連盟(IBA)の元審判、田中美一氏によると、国際試合のストライクゾーンは日本より外角にボール半個分ずれるそうだ。現地で事前に合同練習をする審判でさえ「実際の国際試合に慣れるのは大変」という。

 “グローバルスタンダード”の壁。「それに合わせろといえば打撃が崩れる」と、日本首脳陣はプロにあえて適応を求めていない。また五輪の公式球は縫い目のヤマが高く、14日のアマ選抜との壮行試合では松中(ダイエー)らが一様に「重い」「飛ばない」と漏らしていた。

 重いのは球だけでなく、背負う日の丸も重い。昨年のアジア予選では古田(ヤクルト)でもガチガチになった。しかも、プロにとってはいつものデータ完備の試合とは違う。「五輪でも全打席フルスイング」という中村だが、近鉄のユニホームをまとった時と同じスイングができるだろうか。

 うまくスタートダッシュするには投手力がかぎとなりそうだが、捕手の鈴木郁(中日)は「投手は日によってガラリと変わる。それぞれ調子が悪い時にどうなるのかつかみたいが、時間がない」と打ち明ける。

 プロ投手の起用には遠慮も要る。例えば松坂のスクランブル登板はあるのか。大田垣監督は「むちゃはしない。優勝をかけた1イニングとかなら別だが……」。プロアマ混成チーム、初代監督の悩みは尽きない。(岩本一典)=おわり

[2000年8月28日/日本経済新聞 朝刊]

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