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アームストロング(自転車、米)・出番待つ世界のスーパースター(5)
 「奇跡のライダー」と呼ばれる。ランス・アームストロング(米国)は、睾丸(こうがん)がんを乗り越えて自転車ロードレースに復帰した鉄人。昨年に続き今年も最高峰のツール・ド・フランスで総合優勝を果たし、シドニー五輪でも頂点をうかがう。

 頭角を現したのは21歳の時と早かった。1993年、プロ転向から1年で世界選手権(ロード)優勝。ツールで3度の栄冠に輝いた同じ米国のグレッグ・レモンの後継者と期待されていたが、96年10月に衝撃的な宣告を受けた。

 体調の異変を感じて検査を受けたところ、睾丸がんとの診断。肺、脳にも転移しており、生命さえ危ぶまれる状況だった。だが、不屈の男は丸1日泣いて過ごすと、必ずレースに戻ってくると決意する。

 睾丸を一つ摘出し、脳の一部も手術。体重が8キロ落ち、頭髪を失いながら、治療とリハビリを続けて驚異的なペースで回復していく。そして、昨夏のツールで、山岳地帯や雨降る坂道を走り抜け、4000キロ近い行程を総合トップでゴールしたのだ。

 昨年10月に長男が誕生して父親となった彼は、「アームストロング基金」の設立など、がん撲滅運動にも取り組んでいる。自叙伝が刊行され、ハリウッドではその劇的な復活ストーリーを題材にした映画製作が進む。スポーツ界を超えて、存在感は増すばかりだ。

 五輪は3大会連続の出場。だが、バルセロナは実力不足、アトランタは体調悪化でメダルに届かなかった。ツールの王者として臨む今回は、金メダルを狙うと公言している。これまでツールと五輪の2タイトルを同じ年に獲得した例はない。シドニーで勝つと、奇跡のライダーにまた一つ勲章が加わる。(岩本一典)

ランス・アームストロング  1971年9月18日、米国テキサス州生まれ。93年世界自転車選手権ロードで優勝。99年、2000年のツール・ド・フランスを連覇。五輪は今回で三大会連続出場。バルセロナはロードレース14位。アトランタは個人タイムトライアル6位、ロードレース12位。177センチ、75キロ。

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