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厳しい検疫“臨戦態勢”・夢の祭典ラストスパート(3)
シドニー空港で荷物のチェックする検疫物探知犬
 五輪開幕も迫り、観光客でにぎわうシドニー空港。通関手続きを待つ到着客の間を縫うように、ビーグル犬がスーツケースやバッグのにおいをかぎ回る。動植物や食品のにおいをかぎ取り、係員に知らせる「検疫物探知犬」だ。

 1956年のメルボルン大会に続いて2度目の五輪を開催するオーストラリア(豪州)は世界で最も検疫が厳しい国として知られる。孤立した大陸で独自の進化を遂げてきた動植物や農畜産物を伝染病や病害虫といった外敵の侵入から守るためだ。

 メルボルン大会では、馬の持ち込みを許さず、馬術競技だけはスウェーデンのストックホルムで行われた。今でも犬や猫などのペットには、検疫記録を読み込んだマイクロチップの埋め込みが義務づけられているほどだ。

 シドニー空港の国際線には、今月15日から10月2日までの間に、通常のほぼ倍にあたる70万人を超える入国者が見込まれている。地元では「厳しすぎる検疫が混雑に拍車をかけるのでは」との懸念も出ているが、豪州検疫サービスのニューサウスウェールズ州地域マネジャー、デビッド・ウォルシュ氏は「五輪といえども例外扱いはしない。検疫基準を緩めることはありえない」と断言する。

 同空港は五輪に備えて検疫スタッフを通常より25%多い125人に増強。すでに3週間の訓練期間も終え、15日から五輪本番と同じ“臨戦態勢”に入っている。検疫担当官は「有機物は茶色、金属は青く映るんだ」と荷物をチェックするエックス線モニターに目を光らせる。

 馬術競技も今回は、「競走馬の輸送経験が増え、検疫システムの周知徹底が進んだ」(ウォルシュ氏)ことなどから地元で開催する。参加260頭の大半が現地入りする21日が「最初のピーク」になるという。

 ただ、検疫手続きの厳格さは相変わらず。日本馬術連盟によると、フランスで調整中の日本選手が「なるべく環境が変わらないよう、本番でも同じエサを馬に与えたい」と豪州へのエサの空輸を求めたところ、許可を得るまで約2カ月もかかったという。

 このほか野球の皮製グラブ、木製バット、土がついたスパイク、医薬品なども検疫の対象となるため、日本オリンピック委員会でも監督会議などで注意を呼び掛けている。

 観光客も注意が必要だ。肉製品はビーフジャーキーなど乾燥品も含め持ち込み禁止。マヨネーズや乾燥卵入りふりかけなどの卵製品にも厳しく、乾燥卵や乾燥肉が入ったカップめんは没収。梅干しなど漬物類も自家製のものは持ち込みが難しいという。

 検疫の対象物を申告しなかった場合は最高110豪ドル(約7200円)の罰金、密輸意図が明らかな場合などは刑事告発も。航空会社や旅行代理店では「検疫対象かどうか分かりにくいものは必ず申告してください」(カンタス航空)と呼び掛けている。

〔日本経済新聞 朝刊8月16日〕

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