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モーリス・グリーン(陸上、米)・出番待つ世界のスーパースター(1)
11日に行われたチューリヒ国際100Mを9秒94で快勝したグリーン(左)〔著作権:AP.2000〕
 五輪には競技の顔と呼ぶべき世界のスーパースターが集い、さまざまのドラマを生んできた。シドニーで金メダル確実といわれる有力選手は、どんな活躍をみせるのか。男子100メートルで世界新樹立の期待がかかるモーリス・グリーン(26)の横顔から紹介する。

 「今年は私から目を離さないでほしい。びっくりすること請け合いだ」。テレビコマーシャル撮影とレース出場を兼ねて来日した5月、男子100メートルを9秒79で駆け抜ける世界最速の男、グリーンは鼻歌まじりで「ショータイム」の幕開けを宣言した。

 今季初戦、大阪で100メートル9秒91といきなり今季世界最高をマーク。だが五輪代表を一発勝負で決める全米選手権は、200メートルでマイケル・ジョンソンとともに足の故障で途中棄権。競技場外でプロレスさながらの舌戦を繰り広げた末の両者リングアウト。公約通りに話題は満載だ。

 50メートル通過タイムの自己ベストが5秒55、60メートル(室内)で6秒39の世界記録を持つ。スタートから最高速に達する爆発力は圧倒的だが、パワーだけではない。力まず体を運んで終盤の減速をぎりぎり最小限に抑える技術も磨きがかかっている。

 100メートルで踏み出す46歩の一つ一つにやるべきことがある。それを着実に遂行するには並外れた集中力が必要だ。レース前のグリーンは笑顔を捨て、鬼気迫る。同走者には目もくれずにゴール一点をにらみすえ、肩を揺らせてスタートラインにつく。

 コーチのジョン・スミス氏からは「トラックに出る前にやるべきことを学んだ」と話している。精神コントロールの大切さをたたき込まれた。レース前後の大言壮語も計画されたコンディショニングの一環なのである。

 強気ばかりが目につくが、200メートルの五輪代表を逃したのはこたえたようだ。「世界選手権優勝者や世界記録保持者に、五輪のワイルドカード(主催者推薦)が提供されるかもしれないという話を聞いた。そうなれば自分は受ける」と話している。あっさり「200メートルはもう走らない」と言い切るジョンソンと対照的に未練たらたら。煩悩が捨て切れぬ修行者を思わせる。まだ成長途上だ。(串田孝義)

 モーリス・グリーン  74年7月23日、米カンザスシティ生まれ。96年9月からロサンゼルスに移り、ジョン・スミスコーチの指導を受けて頭角を現す。男子100メートルは97年アテネ、99年セビリア世界選手権を連覇。オリンピックは初出場。176センチ、75キロ。

〔日本経済新聞 朝刊8月15日〕

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