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「緑の大会」ひた走る・夢の祭典ラストスパート(2)
五輪公園内のメーンスタジアム
 シドニー郊外の五輪公園。競技施設を見下ろすホテル19階の展望室に1枚の写真が飾られている。

 「ごみ捨て禁止 罰金200豪ドル」。道路わきに立つ看板の向こうに、がれきや古タイヤなど産業廃棄物の畝が続く。五輪公園のかつての姿だ。

 「グリーンゲームズ(緑の五輪)」。五輪史上最大の11万人を収容する「スタジアム・オーストラリア」の見学ツアーで、ガイド役の男子学生が何度もこの言葉を強調した。シドニー五輪は環境を前面に押し出した初めての夏季五輪大会だ。かつての産廃投棄場は有害物質が含まれた土壌を浄化し、緑豊かな競技会場に変身した。スタジアムや選手村の屋根には太陽光発電用のソーラーパネルを設置。トイレの水も浄化して再利用する。

 この「緑の五輪」構想。実は、シドニーへの五輪誘致を目指していた招致当局が1992年当時、環境保護団体グリーンピースのアイデアを採用したものだ。

 招致当局が五輪構想を匿名で募集した際、百以上の応募案から選ばれた。グリーンピースの五輪プロジェクト担当、ブレア・パレージさんは「最初は当局もびっくりしたでしょうね」といたずらっぽく笑う。

 五輪の環境対策について、グリーンピースが1年前に発表した評価は「百点満点の70点」。太陽光発電などに最高点をつける一方、冷房にオゾン破壊物質を使った点などは最低点だった。この評価に対し五輪組織委は「世界で1番辛らつで、声が大きい環境団体が7割と言うんだから、及第点でしょう」(環境担当のマイケル・ブランド氏)。

 シドニー五輪の総運営予算約23億6500万豪ドル(約1540億円)のうちスポンサー収入が約7億豪ドル、テレビの放映権収入約10億豪ドルと合わせて7割を超える。アトランタ五輪の運営予算(約1580億円)とほぼ変わらず、84年のロサンゼルス大会以来の「商業五輪」路線に大きな変化はない。

 グリーンピースでは現在、この1年間の改善点を考慮した評価見直し作業が大詰め。パレージさんは「課題は多いが、環境技術をアピールしようと企業も努力している。商業主義と環境保護は必ずしも矛盾しない」と語る。今年6月、五輪スポンサーの一つ、コカ・コーラ社が2004年のアテネ五輪までに、オゾン層の破壊物質を使用する冷蔵庫の新規購入をやめると発表したことは、「大きな成果」(パレージさん)という。

 展望室を設けた五輪公園のホテルは、1人3.3豪ドル(約210円)の景観料をとる商売上手。一方で、「宿泊客1人あたり1豪ドルを世界自然保護基金(WWF)に寄付しています」と環境への貢献をアピールする。

 企業も環境という理念を離れては、五輪と共存していけない時代が到来している。

〔日本経済新聞 朝刊8月15日〕

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