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観客輸送やきもき・夢の祭典ラストスパート(1)
五輪ムードが高まるシドニー市街
 「シドニー空港の通関手続きは15分で済むという資料は君が書いたのか」「だれがそんな大ウソを? 2時間の間違いでしょ」

 地元テレビの人気番組「THE GAMES」が7月末、五輪準備の混乱ぶりを皮肉たっぷりに描いた一コマだ。むろんフィクションだが、2年前に始まった同番組は五輪がらみのスキャンダルや予算不足など、後で実際に発覚したトラブルを「予見した」と評判になっている。

 この時も放映日の翌朝、シドニー空港で停電が発生、非常用発電機も機能せず、空港は2時間にわたって大混乱した。

 五輪期間中の人出予測は延べ約820万人。同空港には通常の倍近い1日最高2万3000人(国際線)が到着し、競技施設が集中する五輪公園へは1日50万人が押し寄せる。

 競技施設はすべて完成。心配されたホテル不足も「余分に押さえられていた予約がキャンセルされ、空きが出てきた」という。五輪成功のカギとなっているのが、円滑な輸送だ。

 ところが、6億豪ドル(約390億円)をかけて大改修した同空港では7月以降、停電が2度、新型の荷物制御システムも2度ダウン。「こんな基本的なミスが続くようでは本番が心配」と空港の五輪担当マネジャー、フィリップ・キャッシュ氏の表情もさえない。

 競技会場への主な輸送手段となる公共鉄道「シティーレール」も例外ではない。8月上旬には今年31回目となる脱線事故が発生。五輪の大量輸送に対応するため研修期間を短縮した“急造運転手”による信号無視も相次いでいる。

 五輪期間中は24時間運行で、ピーク時は5分に一本の過密ダイヤを組む。「現在、列車の8-9割は定刻運行」(同鉄道)としているが、5分以内の遅れは「定刻」に含めており、厳格な定時運行は期待薄。

 車通勤が当たり前のシドニーでは朝夕の道路渋滞も名物の一つ。バス専用路線の確保を目指す五輪輸送公社は「市内の路上駐車は一切禁止。会場周辺の駐車場も自家用車の使用は認めない」と強気だが、大量のレッカー車の調達に追われている。

 それでも、おおらかさで知られる“オージー気質”。このほど五輪組織委員会が発行した観戦ガイドでは「試合の一時間前に会場に着けるよう、10分余裕を持って早めに出発してください。混雑が予想されるので我慢も必要です」。通常なら市中心街から約20キロ離れた五輪公園まで鉄道で30分前後だが、「プラス一時間」が解決策のようだ。

 シドニー空港のキャッシュ氏は「五輪期間中、国際便の到着客は平均31分で通関手続きを済ませられる」と語る。「THE GAMES」の主演俳優で脚本も手掛けるジョン・クラーク氏はこの話を聞いて吹き出し、「その数字を活字にするのは五輪が始まるまで待った方がいいんじゃないか」と笑った。

 8月に入り、シドニー市街には五輪マークが入った旗がたなびき、五輪公園を訪れる観光客の姿も増えた。20世紀最後の五輪の開幕まで約1カ月となったシドニーの準備状況をリポートする。

〔日本経済新聞 朝刊8月13日〕

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