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中尾と中村、4年前の屈辱バネに・女子競泳、最強布陣の素顔(1)
プラス志向で復活した中尾美樹 〔著作権:AP.2000〕
 日本の女子競泳陣がメダルラッシュを狙っている。メダルなしだったアトランタ五輪から4年。シドニーの主役は心身ともに成長した20代の大学生たちだ。惨敗の五輪からの連続出場組もいれば、復活を果たしたベテラン、初出場のシンデレラ選手など多彩な顔ぶれがそろった。これまでとひと味違う「大人のチーム」の挑戦である。

 アトランタでメダル有力と騒がれた選手で、五輪連続出場を果たしたのは背泳ぎの中尾美樹(22、近大)と中村真衣(21、中大)の2人。中尾は200メートルで今季世界2位、中村は100メートルで同1位、今回もそろってメダル候補だ。

 「観客の声援がものすごくて、招集所の窓がガタガタ揺れていた」。中尾の記憶には今でもアトランタの競泳会場、ジョージア工科大プールの光景が焼き付いている。

 当時は高校3年。4月の代表選考会は得意の200メートルに加えて100メートルも優勝し、五輪直前の世界ランクはそれぞれ2位と3位。だが「国際大会ではいつも力を出せない」という不安も抱えていた。そこに会場の耳をつんざくような大声援が追い打ちをかけ、気持ちも手足も委縮した。100メートル8位。200メートルは自己ベストより3秒以上遅れて5位。

 その後は、燃え尽き症候群に苦しんだ。「アトランタで現役最後と決めていたので……」。2年前のバンコク・アジア大会。年下の萩原智子(20、山梨学院大)の台頭で代表さえ逃す。その萩原が同大会で二冠を達成。スイミングクラブの同僚に「これからは萩原さんの時代ね」と「過去の人」扱いされた悔しさも、奮起を促した。

 多い日で1万3000メートルを泳ぎ込み、崩れていたフォームを修正。今年4月の五輪代表選考会は200メートルで萩原を0秒18のきん差で振り切った。「今は観客の声援もすべて自分のためと思える。4年前と違って何事もプラス思考です」と、今度は五輪会場の大歓声を楽しむつもりでいる。

米国での練習に励む中村真衣(中央)=共同
 高校2年でアトランタに出場した中村は、体重がベストより7キロ減でレースを迎えた。周囲の「体重を増やしてはいけない」という声をうのみにして過剰なダイエットに取り組んだ結果だった。狙っていた100メートルは自己ベストより0秒65遅い1分2秒33で4位。スタミナが切れて終盤に失速したのも無理はない。

 「決勝に残ればいいと思っていたので4位は満足」と強がったものの、本音は違う。最後に逆転された3位のクリール(南アフリカ)とはわずか0秒21差。「3位の記録なら自分も出せたと思うと余計に悔しかった」と、今なら言える。

 小学校六年から二人三脚で歩んだ竹村吉昭コーチとともに、新潟県長岡市のJSS長岡から、中大に進んだのが1998年春。科学的トレーニングを重視する中大で基礎から体を作り直し、着実に記録も伸ばしてきた。

 現在彼女が持つ100メートルの日本記録は4月の代表選考会で出した1分0秒78。世界記録に0秒62差と迫り、史上初の59秒台も視界に入っている。「前回は選ばれただけで満足していた。しかし今度は自分で満足いく結果を残したい」。体だけでなく、心も大人に成長して2度目の五輪を迎える。

[2000年8月2日/日本経済新聞 朝刊]

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