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田村亮子、「魔物にも勝てる力を」・日本柔道金への道(7)完
合宿中「1日1日が五輪のつもりで」と語る田村(7月29日)
 北海道清水町で31日に打ち上げた全日本女子の強化合宿。1日の練習時間は5時間を超え、夕方は仕上げに「2分間一本勝負」を繰り返した。五輪に向けて疲労はピークだが、48キロ級代表の田村亮子(トヨタ自動車、24)は「仕上がりは万全。最高の状態で本番を迎えられそうです」と言い切る。

 シドニーでの目標について、「最高で金メダル、最低でも金メダル」と言い続けてきた。世界選手権で4連覇の偉業を達成しながら、五輪では2大会連続の銀メダル。8年間で敗戦はこの2つだけ。「悲劇のヒロイン」のイメージが定着したが、本人は「過去2回は実力から見て、自分は銀メダリストだった」と結果を真正面から受け止めている。

 1984年ロサンゼルス五輪で金メダルを獲得した山下泰裕・全日本男子監督は、「アトランタに魔物がいたというのは田村だろうし、天使がいたというのが(金メダルの)恵本(裕子)だろう」と語る。田村は「2回経験してますから、魔物にも勝てる力をつけて……」と悪夢を断ち切る決意を見せる。

 明確な目的意識が、この4年間を緊張感のあるものにした。腰痛、左手小指、右手薬指など故障が絶えず、際どい判定勝ちが増えた。それでも49連勝。

 苦戦しながらも、福岡国際、全日本選抜体重別で節目の10連覇を達成。「記録というものが自分にとって、大きな自信になっている」という。

 現在も練習前、両手の中指から小指までテーピングで固める。「練習しながら治さなくては」ともどかしそうだが、メニューをフルに消化できるところまで回復した。「技一つ一つの威力、そして体が自然と反応するように」。残り1カ月余り、持ち前のスピードとキレを取り戻すため「1日1日が五輪のつもり」で調整していく。

 最近、ビデオを見て気に入った言葉があるという。アーノルド・シュワルツェネッガー演じるボディービルの王者の「自分は努力したから世界一になった。2番のやつは2番の努力しかしていないから、2番なんだ」。

 3度目の挑戦で金メダルに届くか、日本中の関心の的になる。トレードマークでもある髪どめのリボンが全国から届けられ、段ボール1箱分に達した。

 小学校にゲストとして招かれると、子供たちから激励され、夢を託されていると感じる。「その夢をかなえる選手でありたい。応援を力に、勝って皆さんと一緒に喜びたい」。8年越しの願いが、その一言に込められている。=おわり (この連載は岩本一典が担当した)

 競技初日に登場、日本の勢い左右

 <メモ> 前回のアトランタ五輪まで柔道は男女とも重い階級から始まり、最軽量級は最終日だった。今回は逆で、軽い階級からスタート。開会式翌日で柔道の初日となる9月16日に、日本勢は田村、男子60キロ級の野村忠宏(ミキハウス)と金メダルが有力なエース級の2人が登場する。

 「これまでの経験から初日が1番大事。田村が(金を)とってくれたら、突っ走れるかな」と全日本女子の吉村和郎監督。チームに勢いをつけたいという田村も初日を歓迎。「過去2回は現地入りして十何日もあって、待ち遠しかった。今回は1週間くらい。すごくいい感触を持ってます」

[2000年8月1日/日本経済新聞 朝刊]

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