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デジタル五輪、組織委が財源確保に奔走・運営ノウハウも「換金」
広告掲載に踏みきるシドニー五輪の公式サイト
 「五輪が終われば、売れそうな物はすべてインターネットの競売にかける」。シドニー五輪組織委員会のジョナサン・ラスト部長は苦笑する。聖火リレーに伴走したバイクや事務所内の備品、壁に張った五輪の旗も競りの対象にするつもりだ。

  • さばけない270万枚

     組織委員会の台所事情は苦しい。五輪運営費の2割を賄う入場券は発売から1年たった今月初旬の段階でも、まだ4割近い270万枚が売れ残っている。組織委はこれまで2度の予算削減を余儀なくされ、現在入居している建物も、フロアを間借りしている状況だ。

     「スキャンダルの影響は考えたくない。少なくともコカ・コーラなど長年のスポンサーは離れなかった」とラスト部長。裏返せば、新規スポンサーとして見込んでいた広告主が五輪離れを起こし、組織委の計画を狂わせた。

     これほど醜聞に見舞われた五輪も珍しい。五輪招致にからんで98年末に国際オリンピック委員会(IOC)の接待疑惑が発覚、世界のメディアをにぎわせた。シドニーの組織委も、高額所得者だけにひそかに入場券を販売したり、聖火ランナーに幹部の子弟を起用するなど、ひんしゅくを買った。

     組織委は今や財源確保に懸命だ。2004年に夏季五輪を開くアテネの組織委員会への助言活動もその一つ。“顧問料”は約4億円。商業五輪路線が本格化したのは80年代からだが、運営ノウハウまで“販売”するのは今回が初めてだ。

     IOCのインターネット公式サイトに広告を入れるのも、シドニー組織委がIOCに提言して実現した。業務を受託したネット専門の広告代理店、BMCメディア・ドット・コム(シドニー市)によれば「世界の五輪スポンサー110社のうち、30―40社と契約できそうだ」(アラン・ロング上級副社長)という。

  • スポンサーから不満

     もっとも、組織委の手法には「武士の商法」にも似た点がある。かゆい所に手が届かず、商機を逃しているのだ。

     例えば、11社しかない五輪の最上位スポンサーの1社、松下電器産業はネット広告への出稿要請を断った。同社は最上位スポンサーとして50億円の協賛金を支払っており、「(ネット広告について)下位スポンサーと一緒に扱われるのは不満」(国際宣伝部の井谷直樹リーダー)。しかも公式サイトはすべてのページに、運営者である米IBMのロゴが付く。「IBMの隣りに名前を載せるのはブランド戦略上も問題がある。もう少し配慮できないか」と指摘する。

     入場券の販売不振問題も、組織委が特定新聞に掲載した申し込み手順に従わないと応募できない仕組みを導入したことが、一因と言われる。組織委はあわてて市内に簡易販売所を立ち上げたが、地元民の反応は鈍い。

     組織委のラスト部長はこう話す。「運営に多少の問題はあるかもしれないが、我々は営利団体ではない」。赤字さえ出なければ、後にはスタジアムなどの“遺産”が残ると強調する。

  • IOCは強気の姿勢

     対照的なのは、五輪の総本山であるIOCの懐だ。6日には米マクドナルドが、向こう4年間で6000万ドルの協賛金を払う最上位スポンサーの契約を更新した。IOCが結んだ8社目の契約となる。IOCのマイケル・ペイン・マーケティング部長によれば、シドニー五輪が開幕する9月までには2004年までのスポンサー枠、10―12社を確保できる見通し。もはやスキャンダルの影はない。

     「五輪の商業価値は揺るがない」とペイン氏。運営に苦慮する現地の組織委員会とは明暗を分けたまま、現地の人気回復に不安を残したまま、あと2カ月あまりでシドニー五輪は開幕する。(管野宏哉)

    [2000年6月28日/日経産業新聞]

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