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五輪マラソンコース、マウンテンバイクで試走
 シドニー五輪マラソンコースを、積水化学の小出義雄監督は「五輪史上で最も難しい」と評した。42.195キロの3分の2が起伏。その代わりに港湾都市シドニーの観光名所を楽しめるように設定されたという。ならば、そのコースを自転車で試走、観光巡りを兼ねてその難しさをを体感してみることにした。

・コース一番の絶景

アンザック橋へ向かう上り坂
 5月中旬のシドニーは抜けるような秋晴れが続いた。自転車試走をした14日午後の気温は20度。日差しはけっこう強い。ノースシドニー地区にあるセント・レオナルド公園横がスタート地点。秋風を受けてマウンテンバイクをこぎ始めると、すぐに急な坂道となった。

 約1.5キロで標高差50メートル以上を下る。ブレーキをかけずにはいられないほどの急坂だ。選手にとっては一見楽そうだが、実は足に大変な負担のかかる最初の難所という。

 坂を下りると、巨大なアーチ橋のハーバーブリッジへが見えてきた。シドニー湾をまたぐこの橋へのアプローチは自動車専用道路。選手は当然、そのまま橋の頂点を目指して上って行くが、自転車は入れないので、う回して橋の右端の自転車専用道に入った。

 橋の上はコース一番の絶景。選手は左手にシドニー市のシンボルであるオペラハウスが望めるはずだが、残念ながら右端の自転車道からは屋根の上部が見えるだけだった。

 橋を渡ると市中心部の市街地に入る。ここらで5キロ。ここから17キロ過ぎで折り返すまで南に向かう。ハイドパーク、セントメリー大聖堂――。ビジネス街の高層ビル群と、広い公園の緑のコントラストが目を楽しませてくれる。

 しばらく行くと、テーラースクエアという一角に出た。このあたり、ゲイの出会いの場となるバー、クラブが軒を連ねているとか。

・スポンサー本社ビル通過

35.6キロ付近の下り・上り
 サッカー会場のあるムーアパークに向かうあたりで、ペダルをこぐ足が重くなった。緩やかだが上っている。やがてコースは左に曲がって、豪州建国100年を記念して造られたセンテニアル公園に寄り道。

 園内の周回コースは約3.5キロ。乗馬、ジョギング、自転車などスポーツを思い思いに楽しむ人々の姿が目につく。木陰がうれしい並木道に、ペダルを踏む足も心なしか軽くなった。いっそ公園内をぐるぐる回るコースにすれば、選手も喜ぶかもしれない。

 園内のレストランで一休み。本番はここでマラソン観戦するのもいいかもしれない。聞いてみたら、まだ五輪期間中の予約は入ってないとか。もっとも女子マラソン選手がここを通過す午前9時半ごろは、まだ開店前かもしれない。

 同公園に別れを告げ、さらにしばらく南下すると折り返し点。ここらは何の変哲もない住宅地だ。時間短縮のため、いったん車でキセルをすることにした。

 再び市中心部に戻ると、ハイドパークの横から、西に進路を取り、ダーリング・ハーバー地区にむけて急坂を下っていく。その前になぜか50メートルほど北に走り、豪通信会社テルストラの本社ビル前を通過した。同社はシドニー五輪のスポンサー企業。こうしたコース設定もスポンサーへの配慮かもしれない。

 ダーリング・ハーバー地区には、柔道などの会場となるコンベンション施設がある。80年代後半から開発された地域で、ショッピングセンター、娯楽施設が入り江に沿って立ち並び、シドニー版“お台場”という感じ。

 ここからマラソンコースはしばらく自動車専用道路。車からは壁のように見えるアンザックブリッジの急坂が前方に迫ってきた。巨大なつり橋で、コンクリートの支柱2本が行く手にそびえ立つ。コース最大のヤマ場ともいわれている。

 これは車なんかに乗ってはいられないと、う回して自動車専用道路を降り、橋の車道脇にある歩道に上がって自転車で走ってみた。実際には見た目ほど急ではないが、橋の前から上り下りが連続しており、そろそろ疲れの出る選手には厳しいところだ。

・「ジェットコースターみたい」

 4月末に同じコースでを使って実施したホストシティー・マラソンでは、この橋の手前で歩き出す選手が続出したそうだ。その時に試走した日本代表の山口衛里選手は「まるでジェットコースターみたいなコース」と話していた。

 アンザックブリッジを過ぎると、もうすぐ30キロ。コースはシドニー湾に沿い、緑が豊かな住宅街を西に向かってゴールを目指す。右手にヨットの浮かぶ入り江を望むハーバーフィールド地区を越えたあとは起伏の連続

 自転車でも息が上がって苦しい。35キロ手前に1キロ近い長い坂。36キロ過ぎからも坂が始まる。競り合いが続いていれば、ここが勝負どころになるだろう。坂に加えて曲がり角もある。ライバルを振り落とすには好都合だなと考えていたら、曲がり角を一つ間違えた。選手だったらこれで脱落か。

 38キロあたりで再び自動車専用道路。ところが、自転車も入れるというので、ギヤシフトしてフルスピードで疾走した。足の筋肉も痛むが、それ以上におしりが痛い。ここまでのコース、起伏だけでなく、でこぼこが相当きつかった。

 いよいよゴールとなるスタジアム・オーストラリアのある五輪公園が迫ってきた。コースは自動車専用道路への進入路を逆走することになるので自転車は大きくう回。ようやくスタジアムの雄姿が目に飛び込んできた。しかし行く手に最後の上り。公園内はけっこう坂が多い。気はあせるが自転車は進まない。スタジアムを左回りに半周して、ようやくトラックへの入り口。中に入るともうゴールまで500メートルだ。

 この数日後にコースを試走した高橋尚子選手は「難関といえるコースほど、(スタジアムに)帰ってきた時の感動は大きいのでは」と言っていた。だれが最初にここに戻ってくるのか。最後に笑う選手は誰だろう。

(整理部 渡洋)

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