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水着、抵抗減サメに学ぶ
突起表面の溝と溝との間隔を最適に調整、水流抵抗を小さくしたサメ肌水着(オーストラリア代表選考会)
 今春、「サメ肌水着」として話題を呼んだのがミズノが開発した競泳用水着だ。水の抵抗を受けやすい体形ながら速く泳げるサメにヒントを得て開発した。デビュー戦となった4月の日本選手権では50人強が着用。このうち10人が自己ベストを更新、まずまずの結果を残した。五輪代表選手では男子9人中5人、女子12人中3人が着用した。

 過去の競泳水着はいかに表面を平滑にして摩擦抵抗を減らすかに力点を置いていた。しかし、ミズノのウエア開発課の松崎健技師は「平滑化の技術は1992年のバルセロナ五輪の時点で、すでに限界に達していた」と話す。

 何とか限界を突破する方法はないか――。そこで着目したのがサメ。サメは直径1ミリ以下の小さな突起で全面を覆われている。突起表面が溝状になっており、それが頭から尾にかけ整然と並んでいる。推進時に溝の中で小さな渦が生まれ、その渦が水流の乱れを防いで抵抗を抑える。

 アトランタ五輪の翌年の97年年明けから、東レと共同でサメ肌水着の開発に着手した。溝は生地をプレス機で型押しして付ける。「溝と溝の間隔が狭いほど水流抵抗が小さくなるが、生地の耐久性が落ちてしまう」(松崎氏)

 何度も試作を繰り返し、最適な間隔に調整した。溝の幅や深さも約10種類のモデルを製作。最も水流の乱れを防ぐ効果が大きい幅0.5ミリ、深さ0.1ミリに決定した。

 人体は様々な凹凸があり、水の抵抗を受けやすい。泳ぐと水の圧力で胸の筋肉が変形し、さらに抵抗が増す。新水着は手首から足首までほぼ全身を覆い、体を締め付けることで抵抗を抑える。筋肉を29のブロックに分けて生地を裁断。人体により密着させることで効果を高めた。

 一連の工夫で水流抵抗を従来品に比べ7.5%低減した。最初は戸惑っていた選手からも日本選手権後は「摩擦が小さいので体が浮く感じ」「筋肉がぶれず力を入れやすい」と好評だ。五輪でもこれまでとはひと味違う水着を着た選手の泳ぎが注目される。

[2000年6月7日/日本経済新聞]

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