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ライバルは故障前の自分・高橋尚子
五輪のマラソンコースを試走する高橋(シドニーのセンテニアル・パーク)
 1998年12月、猛暑のバンコク・アジア大会でたたき出した奇跡的な独走タイム、2時間21分47秒は日本最高で世界歴代5位。目下、マラソン4戦3勝と勝負強い。日本女子マラソンのエースである。

 県岐阜商、大阪学院大では無名選手だったが、小出義雄監督を慕ってリクルートに入社、そこで才能が開花した。師弟のきずなは固く、同監督の移籍に伴って97年から積水化学に所属している。

 すっかり有名になった愛称は「キューちゃん」。新入部員歓迎会でラップを体にぐるぐる巻きにして登場、チーム全員を大爆笑させた「オバケのQ太郎」芸から、その名がついた。

 序盤から独走、中盤からのロングスパートと自在な走りができる。秘密はタフな心臓にある。心拍数が1分間に33-35回。男子マラソンの名選手、瀬古利彦と同レベルで「普通乗用車に5000CCエンジンを載せたようなもの」と小出監督。

 シドニー五輪まで米国ボルダーを拠点に練習を積む。標高1600メートルのボルダー近郊、さらに高い2600メートルのネダーランドに小出監督がバルセロナ、アトランタ連続メダルの有森裕子を鍛えた“メダル製造コース”がある。不整地で壁のようなアップダウンが連続する難コースでの走行記録が、レース本番を予想する物差しとなる。

 昨年夏のセビリア世界選手権直前、そこで高橋がマークした記録はマラソンに置き換えて2時間18分に相当した、という。「あの時の感覚をどこまで取り戻せるか」。左足故障に泣いて欠場した世界選手権。高橋にとっていま、最強のライバルは故障前の自分だ。世界最高記録が出せると確信した走りのイメージを取り戻そうとしている。

 五輪コース対策もぬかりはない。五輪本番まで月1回ペースでボルダーからシドニーに出向き、コースの特徴を頭にたたき込む。あらゆる備えを万全にして、「42.195キロという距離を自由自在に操る楽しいレースをしたい」。

 72年5月6日生まれ、28歳。岐阜県出身。積水化学所属。自己ベストは98年アジア大会での2時間21分47秒(1位)

[2000年6月7日/日本経済新聞]

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