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【シドニー1日=中前博之】早春の肌寒い風に揺れる聖火が消え、20世紀最後の「平和の祭典」が1日、幕を閉じた。史上最多の200カ国・地域が参加したシドニー五輪。先住民のアボリジニのキャシー・フリーマン選手がともした聖火の下、朝鮮半島の南北合同行進で幕を開け、締めくくりはオーストラリア特有の陽気さを演出。パーティー会場と化したフィールドでは、選手が肩を組み、歌い、踊り、日本選手もフィナーレを楽しんだ。4年後、近代五輪発祥の地、アテネに五輪旗が帰る。和解と融和の「願い」は、選手の笑顔とともに人々の心に刻まれ、21世紀へと引き継がれた。
最後を飾った男子マラソンの表彰式の余韻が残る夜のスタジアムに、甲高いファンファーレが鳴り響いた。午後8時(日本時間同6時)、11万人の大歓声に迎えられ、200の参加国・地域の旗が入ってきた。
日本の旗手は、圧倒的な強さで女子マラソンを制した高橋尚子選手(28)。勝負のプレッシャーから解き放たれた、さわやかな笑顔がこぼれる。「旗を落としたり転んだりしないか不安でしたが、日本を代表して旗手ができ誇りに思う。もう一度マラソンのゴールに戻ってこられてうれしい」とコメント。
続いてスタジアムの4カ所の入り口から、各国の選手たちが跳ねるように飛び出してきた。「世界は一つ」の五輪精神を反映し、国別の堅苦しい行進はなし。各国の選手たちに混ざって、日本選手たちも、リラックスした様子で登場。レスリングで銀メダルを獲得した永田克彦選手(26)は、陸上の弘山晴美選手(32)に手招きして早速、記念撮影のお願い。永田選手は「あらゆることが新鮮で感動しました」と会心の笑顔をみせた。
次回アテネ五輪の旗が入場してくると、なごやかムードの会場に厳粛な空気が流れる。サマランチ国際オリンピック委員会会長が「4年後はオリンピック発祥の地、ギリシャで」と宣言。ギリシャ女性の幻想的な舞いと共に、アフリカ、アジア、アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアの五大陸の融合を表す五輪旗が、シドニーからアテネへと手渡された。
風が冷たさを増した午後9時過ぎ、17日間燃えさかった聖火がひっそりと消え、厳かなセレモニーは終了した。その直後、静まり返った会場の上空にジェット機の爆音がとどろくと、花火がはじけ、陽気で華やかな「パーティーナイト」が始まった。
フィールド中央の特設舞台には、地元の有名アーティストが続々と登場。緑の芝の上の選手たちは、出身国を問わず、アップテンポのロックやポップスに合わせて足を上げ、肩を組んで踊り出し、ユニホームの交換も。日本の選手たちも、陸上の伊東浩司選手(30)がユーモラスな風船を他国の選手たちと一緒に追いかけまわすなど、ラテン系の選手たちにつられるように盛り上がった。
この日のシドニーは、夜の気温が15,6度。スタジアムには風も舞い、肌寒かったが、スタンドを埋めた11万人は、体を揺らして熱狂した。シドニー在住のジェニー・アベネブリさん(35)は「素晴らしかった。シドニーの歴史の中で1番良かったんじゃないかしら。シドニーがオリンピックをやり遂げられて誇りに思うわ」と興奮した様子で話していた。
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