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17日間の熱戦を繰り広げシドニー五輪が1日夜、すべての日程を終了した。日本は金5銀8銅5の合計18個のメダルを獲得。選手団長を務める日本オリンピック委員会(JOC)の八木祐四郎会長は「合格点は十分にいった」と評価しながらも「(金メダルの)取りこぼしがあった」とも指摘する。各種目の元現役選手から見れば、現在の五輪代表の精神力に歯がゆさを感じる一面も少なくないようだ。
日本水泳連盟競泳委員で、90年に北京で開かれたアジア大会の400メートル自由形金メダリスト、野口智博氏は、決勝進出を決めたレースを終えても泣き出す日本選手について「(外国の選手に比べて)水泳に対する根本的な考え方が違っている」と指摘する。すでに日本が技術や体力で世界に並ぶレベルを持った、と見ているだけに一度の細かい失敗に動揺する弱さが歯がゆいようだ。「人前では涙を見せない強さを持って欲しい」と苦言を呈する。
水泳だけではない。陸上でも基本的なミスや故障に涙を見せる場面が見られた。前評判の高い選手が確実にメダルを獲得する海外と調子が安定しない日本の選手。鐘紡陸上競技部の伊藤国光監督は選手が失敗を過剰に意識する現状について「本当は『優勝を狙います』と言って自分を追い込んでいくくらいでなければならない」と注文を付ける。
全日本柔道連盟の上村春樹強化副委員長は勝負において「気迫や体の底から沸き起こってくるもの」の重要性を指摘する。男子100キロ級で金メダルを獲得した井上康生は攻め通す柔道を貫いた。こうした気迫が重要であることは柔道だけでなく、すべての種目に言えそうだ。
普段は注目されない種目でも「オリンピックだから」という理由で国民の期待はそれぞれに対し瞬間風速的に盛り上がる。マラソンなら体調の持続、柔道なら背負い投げられる恐怖といった具合に選手には不安が常に付きまとう。それを克服するのは練習に裏打ちされた自信だ。上村氏は「いかに自分に自信を持たせる練習をしたのか、いかに勝つための試合を積み重ね経験してきたか、その中から自分がどういう意味を見い出してくるかが重要。それで初めて自信が持てる」と言う。
凋落(ちょうらく)ぶりが顕著になった男子マラソン、練習が好調でも本番で失敗してしまった男子体操、世界ランク1位でも入賞にとどまった競泳の一部種目、そして五輪の予選にも出られない一部の球技種目――。田村亮子、高橋尚子らの金メダル獲得、という明るい輝きの裏面で、スポーツに向かう選手の精神力に変調が起きていることを感じさせる五輪だった。(シドニー=遠藤繁)〔10月1日〕
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