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カバエワの表情から笑みが消える。その瞬間、会場には衝撃が走った。2種目目の演技中盤、軽快に回していたフープが右手を外れ、場外へ転がる。手具落下とラインオーバー。まさかの、それも極めて重大な「女王」のミスだった。
だれもが金メダルを確実視していた。試合後の記者会見。「こんなことは予想もしなかった。しかしスポーツではこういうことが起きるもの」。胸の中に押し込んだ本音は読めないが、カバエワの表情にはいつも通りの笑みが戻った。
過酷な動きに体は悲鳴を上げていた。17歳。年齢的にも難しい年ごろだ。女王に輝いた昨年の世界選手権大阪大会よりも、いくらかふっくらとしてきた。
1998年の欧州選手権ですい星のように出現して以来、驚異的な柔軟性とミスのない完ぺきな演技を続け、無敵の優勝街道をまい進した。大会前、ロシアではレスリングの「世界最強の男」カレリンと並ぶ、絶対的な金候補だった。
ミスの背景にはひょっとすると、先の欧州選手権で起きた採点問題が影響していたのかもしれない。カバエワらにばかり高得点が出る採点に不満を持ったウクライナ選手が抗議の途中棄権。これがいまなお微妙に尾を引いた…。
傷心の女王は「人生のほかの分野で成功を目指したい」と語った。引退をにおわせる発言。「銅色」のメダルを手にして、彼女は大会にピリオドを打った。〔共同〕
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