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(10/25)2000年問題カウントダウン70日(2)・行政、市民が連携

市町村遅れる

 「水の供給にかかわる重要システムについては局の総力を挙げて対策を進めてきており、現時点では2000年問題でシステムが停止してしまう事態は考えられない」

 東京都水道局のコンピュータ西暦2000年問題対策推進委員会では年末年始の水道供給体制に関して、「万全の態勢を確立している」との自信を示している。水運用や水源管理、水質管理などの制御系システムのほか料金徴収の事務系システムも含めてコンピューターのプログラム修正を完了、模擬テストもおおむね実施済みだからだ。

 年末年始は万一の場合に備えて、主要施設の職員を増強して監視する計画。トラブルが起こって自動運転ができなくなった時でも、即座に手動操作に切り替えて運転できるように訓練を実施している。

 神奈川県企業庁水道局でも水の供給に関する対応はほぼ完了。7月に策定した危機管理計画の中で「不測の事態が起こっても、交代勤務の職員が手動運転で対応できる体制」を整えている。

 だが、コンピューター業界では「東京都や神奈川県の対応は自治体の中でも最も進んでいる方であり、全国の市町村レベルではそう簡単に万全の態勢はとれない」(大手メーカーのシステムエンジニア)との見方が支配的だ。

 「地方自治体の水道システムではたくさんのメーカーのコンピューター関連機器を組み合わせている場合が多く、システム全体を通してのテストが進んでいないようだ」

 三菱電機・西暦2000年対応委員会事務局の野村進二次長は水道システムの弱点についてこうみている。メーカー側も「ウチの所の機器は大丈夫だが、他メーカーのものはわからない」と知らぬ存ぜぬを決め込んでいるケースが少なくない。それを承知していても、「人手も予算も不足気味の小規模自治体が大都市並みの対策をとれないのは仕方ない」(日本アイ・ビー・エム2000年対策室)という。

備蓄法含め対策

 2000年問題はコンピューターだけの問題ではなく、コミュニティーの問題ととらえて住民が結束していかないといけない――。

 地域の2000年問題の実情を憂慮する住民らが相次いで「Y2K(2000年問題)市民ネットワーク」を組織、全国でこの2、3カ月の間に一気に80カ所を超えるグループが誕生している。水道システムなどライフラインにかかわる自治体の対応をチェックするとともに、行政の担当者と協調して対策の準備を進めていくのが狙いだ。

 「水道や電力、電話などどんなトラブルが起きるかは未知数の部分があるが、無用なパニックを避けるために行政と地域住民が連携していく必要がある」。市民グループの草分け的存在であるY2K市民ネット群馬(群馬県前橋市)では自治体との情報交換を積極的に進めながら、他の市民グループとの連携を進めている。

 政府は29日に開く高度情報通信社会推進本部の対策会議で「国民の注意・点検事項」を正式決定し、2、3日分の水・食糧の備蓄などを呼びかける見通しだ。これに対して、Y2K市民ネット東京(東京・千代田)では「水・食糧・医薬品は少なくとも1カ月分を用意し、自治体と住民が連携して緊急時の配布方法もきちんと決めておく必要がある」と提言する。

 Y2K市民ネット東京は東京都を含めた自治体との話し合いも進めており、31日には都内で「第2回2000年問題フォーラム」を開き、食糧の備蓄法も含めた実践的な対策についても取り組みを報告する予定だ。

米の訓練参考に

 自治体の2000年問題対応に詳しい日本都市企画会議の片桐達夫事務局長は「自治体の危機管理計画もトラブル時のコンピューターの復旧対策だけでなく、地域住民の生活に根差した対応をもっときめ細かく策定しておくべきだ」と指摘する。

 実際、「米国では企業や自治体単独ではなく、住民を含めた地域で危機管理の訓練を実施している」(危機管理対策機構の細坪信二事務局長)。同機構では、電気・ガス、水道、電話などのインフラがすべてストップしたと仮定した米国での訓練の事例を参考にしながら、日本でも訓練を実施していく考えだ。

 昨年来、米国から「日本の2000年問題対応は遅れている」と再三指摘され、政府は産業別の進ちょく状況の把握や中小企業向けの危機管理計画モデルの作成、官民での模擬テストなどを中央主導で実施してきた。

 だが、2000年1月1日が近づくにつれて対応の焦点は「地域」に移ってきている。政府が「念のため水・食糧の備蓄を」と言えば個人の自分の生活に対する関心も高まってくるはずで、全国の自治体はいや応なく一段のきめ細かい対応を迫られてくる。(梅谷哲夫)

[日経産業新聞]

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