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「過去の東京サミットを振り返る」
 日本で開くサミットは今回の沖縄・九州で4回目。それ以前はすべて東京での開催であったが、そこでのさまざまな場面を思い起こすと、この20年強の国際社会の変化が浮き彫りになる。

 ○・・・最初の東京サミットは1979年。先進国の首脳が閣僚抜きで膝詰め談判を行う「サミット外交」に日本が加わってから間もない時期であった。それだけに当時の新聞を開くと、「切りごたつで和食、はしに『?』サッチャーさん」といった、日本文化に不慣れな西側首脳の様子が伝わってくる。

 この時の議論は、第二次石油ショックを受けた先進国の石油輸入削減策ほぼ一色だったといってよいだろう。欧米諸国は石油輸出国機構(OPEC)に圧力をかけるため、輸入削減の数値目標を明記するを要求、輸入依存度の高さゆえに難色を示す日本が孤立化する構図になっていた。前述の午餐会には料亭「吉兆」からの会席料理が振る舞われたが、ホスト役の大平首相は「とてもご馳走はのどを通りません」と述懐するほど、窮地に立たされていたという(嶌信彦著「首脳外交」文春新書より)。だが、この時まとまった輸入削減合意を機に、日本の省エネ化が大きく進展し、その後10年以上に渡って石油価格は低迷を続けることを、当時の首脳たちがどこまで予想していただろうか。

 ○・・・86年に開催された2回目の東京サミットで、強く印象に残っているのは共同会見場に並んだ各国首脳たちの顔ぶれである。「レーガノミクス」の米国だけでなく、「中曽根行革」を進めていた日本、そして「サッチャー革命」が成果を見せつつあった英国。共通するのは規制緩和、財政支出削減(米国の軍事支出は例外であったが)など「小さな政府」を目指す経済政策であった。シュミット社民党政権の後を継いだドイツのコールCDU(キリスト教民主主義同盟)政権も似たような流れに位置する。政治・安全保障政策でも、欧州の中距離核配備問題などを巡ってソ連に強い態度で臨むことで一枚岩の結束を見せていた。政治・経済両面での「新保守主義」がもっとも勢いを持っていて、居並ぶ西側首脳たちの間に、サミット史上でもまれな程強い求心力が働いていた時期であった気がする。

 この時の東京サミットでは経済政策の「相互監視(サーベイランス)」が打ち出された。通貨安定のためにも、マクロ面での政策協調を進めることが必要との認識を背景に出てきた策だが、この案を舞台裏で進めたのが、各国のいわゆる「通貨マフィア」たち。日本でいえば大蔵省財務官や国際金融局(当時、現在は国際局)幹部らだが、事前の打診がなかったことに、通産省や経済企画庁があとで大蔵省にかみつく一幕もあったという。

 ○・・・93年の東京サミットではクリントン米大統領と宮沢首相がすし屋のカウンターで会食する場面も。もはや79年の際のような日本食に対する物珍しさもなくなったようだ。この時は前回のミュンヘンサミットに続き各国首脳とエリツィン大統領との会談が行われ、ロシアへの支援が議題となったのも、対ソ強硬派の面々が集まった前回の東京サミットから見ると隔世の感がある。

 とはいえこの時の共同声明をみると「悩めるサミット」の様相も伝わってくる。世界的な雇用拡大やボスニア・ヘルツェゴビナ紛争までが議題に上る一方で、「サミットの形がい化を避けるために、実質的な政策協議を中心にする」との一項が経済宣言に盛り込まれた。

 一方で総選挙を目前に控えた宮沢自民党政権に対しては、各国随行団から指導力を疑問視する声もあり、クリントン米大統領からは「日本の政治システムは変わらなければならない」との厳しい一言も寄せられた。さて、今回の沖縄サミットでは総選挙の洗礼を経た日本国首相が、本格的な景気回復へとリーダーシップを発揮し、各国首脳の信頼を得られるかどうか。安定政権を築く上で最初の試金石となりそうだ。(ネット編集部 後藤卓彦)


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