昇格・降格4クラブ(上)
 8年目を迎えるJリーグは初めての1,2部自動入れ替えを経て、J1、J2の陣容が変わった。昇格・降格した4クラブは、置かれた環境の変化に合わせて、今季の経営計画をどのように立てているのか。

 昨季、J2で優勝し昇格を果たした川崎フロンターレはこのオフ、移籍市場で激しく動いた。鹿島からマジーニョ、奥野ら4人を獲得するなど布陣を厚くした。監督、コーチ、選手にかける人件費を、昨季の8億円から11億円へと増やし、経営規模は15億円から20億円に膨らませる。

 積極的な事業の拡大に出ている背景には、J1昇格により大幅増収を図れるという読みがある。「すべてが倍になる感覚。決して経営が楽になるわけではないが、努力すれば収入を増やせる可能性が広がる」と杉本聰・ゼネラルアドバイザーは話す。

 入場料は昨季の一律1200円から平均2000円に、競技場の看板広告費は1枚500万円から1000万円に上げる。入場料収入は昨季の4倍の4億円、広告収入は同3倍の6億円ほどに増えるというもくろみだ。逆に、100%出資する富士通の負担を、10億円から7億円に縮小させる。

 問題は前年比6600人増の1万2000人とはじいている、1試合平均入場者を確保できるかどうか。昨季2度、1万3000人以上を集めた実績を基にした強気の数字で、同じ等々力に本拠を置くV川崎の来年の東京移転も追い風になるとの読みも働いている。

 FC東京も経営規模を拡大しているが、川崎Fに比べると小ぶり。移籍で8人補強したが、前田(磐田)、浅野(名古屋)、神野(大分)と顔ぶれは地味。チームの人件費は昨季の4億円から5億5000万円に上げたにとどまり、母体となっている東京ガスの社員選手もまだ10人を数える。

 昨季の収支は9億円。「支出は10億円を超えない」という185団体の株主との取り決めを守った。今季の予算は収入14億円、支出15億円。入場料収入は川崎Fと同じく昨季の4倍の4億円、広告収入は1億2000万円増の8億円と見込んでいる。今季は赤字が出るが、収容5万人の東京スタジアムができる来年、黒字転換する計画だ。

 「将来はトップクラスと並ぶ30,40億円の経営規模に拡大しないとJ1で勝負できないのは分かっているが、一気に支出を膨らませるのは自殺行為。ステップ・バイ・ステップでやっていく」と村林裕・常務は説明する。赤字を補てんしてくれる親企業を持たない分、現実路線を進まざるをえない。

 1、2部入れ替えが初のケースだけに、それに合わせた経営のノウハウが築かれるのはこれから。当該クラブは手探りで今季に突入する。(吉田誠一)

(2000年1月25日/日本経済新聞 朝刊)


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